2016年5月27日、アメリカのオバマ大統領が被爆地・広島を訪問する予定です。現職の米大統領としては初めてのことであり、安倍総理も同行します。
1945年、アメリカは原子爆弾を広島と長崎に投下しましたが、これは、核兵器を虐殺目的で故意に使用した人類初のケースです。人道に対する罪であり、巨大犯罪です。健康被害も含め、被爆地の情報はアメリカへ持ち帰られ、貴重な「実験」データが得られたのです。
日本人は被害者側なので、被爆の事実が歴史の教科書にしっかりと書かれています。日本人であれば皆、様々な機会を利用して原爆被害について学ぶことができます。しかし、アメリカ社会の主流派は、「原爆投下は戦争終結を早めた」などと正当化し、謝罪をしません。爆心地でどのような惨劇が起こったのか、ほとんどのアメリカ人は無知であり無関心です。
オバマさんは原爆投下に関して当事者ではありませんが、大統領である以上、アメリカを代表して謝罪すべきです。また、アメリカの歴史教科書にも具体的詳細な事実を記載し、アメリカ人の多くが日本人被害者と同じ視点を持てるように努力すべきです。しかし現実には、多くのアメリカ人は過去の犯罪を知ることもなく、大量の核兵器を保有し、世界中の国を威嚇しています。愚かだと言わざるを得ません。
被害者側である日本人の中にも愚か者がいます。
広島と長崎では毎年、原爆犠牲者の霊を慰め、惨禍を再び繰り返さないことを誓うために平和祈念式典が行われます。総理大臣をはじめ、政界で要職に就いている人も参加しています。しかし安倍総理は、同じ過ちを繰り返さないという気持ちが乏しいようです。
上記ビデオ内で、興味深いやり取りがありましたので、以下に引用いたします。
引用始め
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山本議員
「2004年の最初のファルージャ攻撃では、700人以上が殺害され、2回目の11月、ファルージャ総攻撃では、行方不明者は3000人に及び、6000人もの住民が殺されたと言われます。中には、白旗を握りしめたままで発見された少年の遺体もあったそうです。
次のパネルをお願いします。
このような一般市民に対する虐殺、イラクのあちこちで起こっていた現実、このパネル、子供専用の墓地だそうです。戦争前から存在するものでしたけれど、戦争が始まってからは、埋葬する場所もないくらいになっているのが、見て、御覧いただけると思います。安倍総理、これ、米軍が行ったまぎれもない国際法違反、戦争犯罪ですよね」
安倍総理
「ま、例えばですね、えー、山本議員がお話をされたわけでございますが、えー、私が今、それがですね、えー、中身について検証する材料をもっていないわけでございますので、えー、コメントは差し控えたいと思います」
山本議員
「じゃあ何が戦争犯罪かっていうもっとわかりやすいたとえ、総理には必要だな、ということを、今感じたので、お聞きしたいと思います。
米軍による爆撃、我が国も受けております。広島、長崎、それだけじゃない、東京大空襲、そして、日本中が空爆、爆撃をされた。それによって、50万人以上の方がなくなっていますよ。この50万人の中に、そのほとんどを占めるのが、一般市民じゃないですか?
子供、女性、民間人への無差別攻撃、アメリカによる、広島、長崎への原爆投下、それだけじゃなく、東京大空襲を含む、日本全国の空襲、民間人の大虐殺、これは、戦争犯罪ですよね?国際法違反ですよね?いかがですか?」
岸田外相
「広島、長崎への原爆投下等が、国際法違反かどうかというご質問でありました。これは、こうした行為は、その、この、絶大な破壊力、あるいは、殺傷力故に、この国際法の思想的基盤にあります、人道主義の精神に合致しない、このように、我が国は理解をしております。国際司法裁判所等においても、そうした議論が行われていると承知をしております」
山本議員
「ま、本当に、奥歯に何かが挟まったようなものの言い方なんですね。はっきりしてるんですよ、当時、ジュネーブ条約なんかなかったけど、ハーグ陸戦条約があったじゃないですか。民間人の攻撃、無差別攻撃は禁止されてましたよ。これ、完全なる国際法違反であり、戦争犯罪じゃないですか?これに対して、どうしてはっきり言えないんですか?総理、このこと知ってるじゃないですか?
それでも、答えようとしないんですか?代わりに外務大臣に答えてもらって、おかしな話ですね。言えないんですね、宗主国様のことははっきりとは。過去の米軍の過ちを認められないものが、どうやって戦争犯罪、常習国である米国の行動をこの先、ジャッジできるんですか?この先、米軍が戦争犯罪を行った場合、総理が我が国の最高責任者として、米軍の行動を止めるんですよね。自衛隊、撤退させられるんですよね。
大丈夫ですか、総理?」
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引用終わり
アメリカ様のご機嫌取りに忙しく、広島への原爆投下を戦争犯罪だと認めることができない安倍総理。こんな卑屈な人物がオバマさんの広島訪問に同行して何をするつもりなのでしょうか。まさか、「原爆を投下してくれたおかげで、戦争終結を早めることができました。ありがとうございます」なんて言いませんよね?
IPPNW(=International Physicians for the Prevention of Nuclear War:核戦争防止国際医師会議)が広島原爆被害に関連して記事を書いています。以下にリンクを貼ります。
上記リンク英文記事の一部を私が邦訳し、以下に引用します。参考にしてください。
引用始め
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第二次世界大戦中、アメリカは原爆を3個製造した。1945年7月16日にトリニティ原爆実験に成功した後、残りの二つは日本の都市上空で爆発させた。リトルボーイと名付けられたウラン型原爆は1945年8月6日に広島へ投下、ファットマンと呼ばれるプルトニウム型原爆は8月9日に長崎へ投下された。
広島市内にあるT字型の相生橋が原爆投下の目標地点として選ばれた。そこは人口が密集した商業地区・住宅街であった。原爆は高度580mで炸裂し、その威力はTNT火薬に換算して約15000トン分に匹敵した。
核爆発により膨大なエネルギーが放出されたが、その内の約半分は運動エネルギーだ。爆心地から半径2km以内にある殆どの建物は圧力波でなぎ倒された。その中には主要な病院も含まれる。爆風は巨大ハリケーンに匹敵する速度に達し、数キロ離れたところに居ても鼓膜や肺が破裂してしまった。建物の一部・車・死体などが道中で飛ばされ凶器と化した。
放出されたエネルギーのうち約35%は熱であり、巨大な火嵐により市内のほとんどが即座に炎に包まれた。爆心地から半径2km以内の建物は殆ど焼失した。爆心地近くの温度は最大で3000〜4000℃にもなったため、全ての生き物は灰と化し、歩道に残ったのは蒸発時に出来た影だけであった。半径3.5km以内では露出した皮膚は火傷を負った。防空壕や地下室に隠れていた人たちは、一酸化炭素中毒や窒息により死亡した。原爆で放出された総エネルギーのうち、残り15%が放射線だ。
広島市内には全部で298人の医者がいたが、生き残ったのは28名のみであった。他に看護師約130名と薬剤師28名が生き残った。けが人に応急手当てを施せるのは彼らだけであった。
最初の2週間で亡くなった人達のほとんどは、火傷・外傷・急性放射線被爆が原因であった。第3週から8週にかけては、3シーベルト以上被爆した人達が死亡した。症状は、臓器不全・出血性下痢・嘔吐・貧血性骨髄抑制・免疫不全・出血である。
控えめな推定によると、少なくとも45000人が原爆当日に死んだ。1945年末までに、死者数は約14万人まで増えた。しかしながら、正確な死者数を知ることはできない。終戦時の広島市内の居住者数が判らないからだ。資料類も消失してしまった。親族が全滅して行方不明者を確認する者がいない。原爆により社会システム全体が崩壊し、それが死亡者の確認をより困難にした。
外部被爆による長期的症状として最初に見られたのは、ケロイドと白内障だ。1947年以降、白血病の増加傾向は直線的ではなかった。白血病発生数は1950年代の前半にピークとなり、その後は漸減した。2〜3シーベルトの放射線を浴びると白血病のリスクが16倍以上になると思われる。今日に至るまで、広島県の白血病発生率は他県と比べてわずかに高い。
その一方で、被爆者たちが年を重ねるに連れて、固形腫瘍の発生率は持続的に増加している。骨髄異形成症候群もしかりだ。最初に急激な増加を見せたのは主に甲状腺癌だったが、乳癌・胃癌・大腸癌・皮膚癌・肝臓癌・胆嚢癌・卵巣癌・膀胱癌が後に発生するようになった。疫学的な寿命調査が1950年に始まったが、それによると、癌の発生率は被ばく線量に比例することが判っている。また、若年時に被爆した人の方が癌の発生率が高くなっている。
被爆者の間で発生率が高い病気は癌以外では、良性腫瘍・内分泌障害・高血圧と脳卒中、そして心臓と肝臓の疾患だ。染色体異常の発生率は被爆量が多いほど増えるため、生物学的線量計としての役割を果たす。子宮内が被爆した場合、生まれて来る子供に小頭症と精神遅滞が増えることが判った。
原爆の被害者のことを日本語では被爆者という。今日生存している被爆者のほとんどは幼少期に放射線を浴びたため、長期的な悪影響や疾病率増加が予想される。(中略) 被爆が将来世代にどういう影響を与えるか、政府は政治的な理由により隠ぺいしていると弾叫している被爆者グループも存在する。
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引用終わり
以上