【世間知らず】愚劣な中学校長から生き方を強制された生徒たちに同情する。

出典:ガベージニュース

出典:ガベージニュース

 日本社会の精神的貧困を象徴するような記事をネット上で見つけました。下にリンクを貼ります。

「子を産めない人は寄付を」 「2人以上」発言の校長

 大阪市鶴見区にある市立茨田北(まったきた)中学校の寺井寿男校長(61)の発言と、それに対する私の疑問・考えを述べたいと思います。

寺井寿男校長の発言1:
「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むこと。仕事でキャリアを積むこと以上に価値がある」
「人口が減るなかで、日本がなくならないためには女性が子どもを産むしかない。間違った発言とは思わない」

 女は仕事よりも子供を産み育てることを優先せよ、国家のために国民が存在するのだ、子供をたくさん産んで国家繁栄に力を尽くせ、というメッセージです。戦前回帰願望が強い時代錯誤団体の日本会議を連想してしまいました。
 こんな発言を女子生徒が聞いて、素直に子供を産みたいと思う筈がありません。寺井寿男校長は発言の間違いを素直に認め、謝罪した方がいいでしょう。

参考リンク:
【独善的?戦前回帰願望?】安倍内閣を占拠している日本会議とは何か?

寺井寿男校長の発言2:
「生徒や保護者から直接おかしいという声は届いていない。私の発言で傷ついた生徒がいたなら真意をきちんと説明する」

 日本の学校教育現場には、話し合いをするという風土がありません。上意下達が基本です。校長という権力者がおかしい発言をしたとしても、それに反論する声が直接生徒から届くことは普通はありません。受験での内申書に響くのでは、という疑心暗鬼・恐怖心があるからです。お互いに実りある話し合いがされることを予想できなければ、勇気を出して校長へ直接反論することはありません。この校長は、反論が自分のところに直接届いていないので、生徒たちは全員納得している、と考えているようです。住んでいる世界が狭いのですね。

寺井寿男校長の発言3:
「出産を強いているわけではない。子育てが楽しいということを伝えたかった」

 上記の寺井寿男校長の発言1を見ればわかりますが、この校長は女性に対して出産を強いています。実質的な前言撤回ですし、矛盾が生じています。このような一貫性のない態度は、国際社会では最も忌み嫌われる原因となります。誰からも相手にされなくなります。もしかして、寺井寿男校長は安倍総理と同類の人間なのでしょうか?
 寺井寿男校長は、子育てを楽しいことだと考えているようです。子育ての楽しさを伝えたいならば、自分の体験談・失敗談を素直に飾らずに語ればよろしい。あなたが誠実で信頼できる人間だと生徒が判断すれば、強制されなくても自然に真似をするようになるでしょう。

寺井寿男校長の発言4:
「男女が協力して子どもを育てるのが社会への恩返し。子どもが産めず、育てられない人はその分施設などに寄付すればいい」

 子づくり・子育ての強要、国家への恩返しの強要です。奴隷でもないのに、強要されて素直に従う人間はいません。
 どうしても子供が産めない・育てられない人間は、仕方がないからお金を出せ、と言われて素直に寄付しようという人が現れるでしょうか?子供が産めない・育てられない人の中には、悩み苦しんでいるケースも多いはずです。想像力・共感力・思いやりを欠いた視野狭窄人間を、社会的責任がある立場に就けてはいけません。

寺井寿男校長の発言5:
「子育てのあと、大学で学び専門職に就けばいい」「出産や子育て後も学び直しはできる。女性がキャリアアップで不利にならないようにするべきだ」

 女は子供を産んで子育てが終わった後に大学で学べばいい、というお考えのようですが、二十歳前後の大学生の中に女性が存在してはならない、ということでしょうか?当たり前のことですが、いつ大学に行く・行かないを決めるのは個人であり、他人が指図することではありません。
 女性がキャリアアップで不利にならないようにという問題提起は、一般論として耳障りが良いですが、女性蔑視の妄言をたくさん聞かされてしまったあとでは、空しく響きますね。

最後に:
 教育の仕事を長年してきて、校長まで務めた寺井寿男氏。彼は自分が吐いた暴言で晩節を汚すことになりました。大阪市の教育委員会は、不適切発言として処分を検討しているそうです。
 多様性を無視し、画一的で硬直した考えを押し付ける息苦しい社会は、衰退し消滅する運命にあります。寺井寿男校長の発言自体が、少子化を加速し、日本を衰退させる原因になっていると思います。

以上

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