弱い者イジメが蔓延する国は衰退するのみである。上に対してモノを言わねば民主主義は育たない。

 戦後から今日に至るまで、日本では実質、アメリカの植民地状態が続いている。アメリカにとって利用しやすい、搾取しやすい国にするためにはどうしたらいいか?日本の官僚とアメリカ高官は日米合同委員会で定期的に話し合っている。自民党はその決定を実行するための部隊に過ぎない売国奴集団なのだ。(詳細は下記文献を参照願いたい。)

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

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 アメリカ様の意向に沿うには、統制が行き届いた上意下達国家にしなければならない。そのため、学校教育は金太郎飴工場と化している。上から与えられた知識を疑問を持たずに受け入れ、それを忠実に再現することを求められている。この無機質な作業を効率よく間違いなく実行できる人間に高い点数を付ける。子供たちは人間性を奪われ、精神的な虐待を受ける中でイライラし、その鬱憤をイジメという陰湿で残虐な行為で解消しているのが実態だ。

 このような環境にすんなり馴染める人間はむしろ異常なのだが、適応できない正常な人間は落ちこぼれの烙印を押される。知的好奇心を掻き立てられることもない退屈な場所に疑問を持ち、拒否反応を起こすのは当然である。上意下達だけでは、自分の頭で考える習慣は身に付かず、人間としての個が確立されず、ディスカッション能力の基礎すら育たない。英語を学習すれば国際人になれる訳ではないのである。

 このようにして教育工場で生産された金太郎飴こそ、日本社会が求めているものである。就職活動をする学生たちの服装が画一的なのには驚かされるが、学生側は、枠から外れてないことをアピールしないと受け入れてもらえないのを熟知している。

 近年は、企業も含めた組織の官僚化が過度に進み、細かな手続きがたくさん要求されるようになった。管理も度を超すと、生産性や効率を落とす原因になる。個が確立された海外では、末端の従業員に権限を大幅に委譲し、大きな裁量権を与えて働いてもらうのが普通であり、能力次第で短時間に大きな成果を生むことが可能だ。日本のように、会社に長くいたかどうかで評価されることはない。大企業病が蔓延した会社では、上役に媚びへつらい奴隷根性が染みついた者でなければ出世できない。このような環境下で上に対してモノを言うのは本当に疲れる。

 宴会芸の中で、スカートをはいた女性警官に「吊天井固め」というプロレス技をかけるのが警察で流行っているらしい。セクハラで複数の警官が処分されたが、雰囲気が支配的だと女性側も拒否しにくいだろう。

吊り天井固め 出典:産経新聞

 これは弱い者イジメの一例であり、一警察署の特殊事例ではない。警察全体に蔓延している上意下達体質を象徴している。自衛隊という武闘集団も同様だ。警察や自衛隊だけではない。悪質の度合いはともかく、日本全体にはびこっている病気だと認識すべきである。弱い者イジメは得意だが、「上に対してモノを言えない病」にかかっている国で、健全な民主主義が育つだろうか?社会が繁栄し、経済が成長するだろうか?

 組織や周囲の雰囲気を敏感にかぎ取り、素早く適応し反応するのも大切な能力の一つだと思う。しかし、多種多様な能力を認めず、素直な偏差値秀才という物差しだけで人間を評価する社会はとても息苦しい。鬱病の多発と大いに関係がある。若者の死亡原因の中で自殺が第一位なのは日本だけだ。若年層にしわ寄せをして人口が増えるわけがない。

図(若者の自殺死亡率の国際比較)

図(若者の自殺死亡率の国際比較)

 人間として個が確立されないと、雰囲気に流されるクラゲとなってしまう。海外の人たちからは、日本はクラゲ国家だと見なされている。「世間」ではなく、自分の頭で考えて自分で決断し、自分の責任で行動するという習慣が身に付いていない社会では、民主主義が機能しない。政治的無関心によって投票率が低下するのは当然の帰結なのである。

図(2014年の衆院選における自民党獲得票数と棄権者数の比較) 出典:数値は総務省集計データ通りだが、図自体の出典は不明

図(2014年の衆院選における自民党獲得票数と棄権者数の比較) 出典:数値は総務省集計データ通りだが、図自体の出典は不明

 棄権者のほとんどは、選挙権を行使することよりも、奴隷になることを望んでいる。反発する人はいるだろうが、自分で自分のことが解っていないのだ。残念だが、これは現実だ。政治的権力層にとって、これほど操りやすい国はない。宗主国であるアメリカ様もほくそ笑んでいるだろう。

有権者のレベルが政治家の質を決定する。写真出典:日刊ゲンダイ‹“

有権者のレベルが政治家の質を決定する。写真出典:日刊ゲンダイ
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 最後に、マスコミの堕落ぶりについても指摘せねばなるまい。日本の政治家がマスコミに対してかける圧力は、実際、諸外国と比べると大したものではない。にもかかわらず安倍政権下で報道の自由度ランキングが急降下しているが、原因の多くはマスコミ側の情けない自己検閲によるものだ。マスコミに努める人間たちもまた、給料で飼い慣らされた奴隷サラリーマンに過ぎなくなっている。自覚のないテレビコメンテーターが大勢いるのは嘆かわしい。番組に魅力が無くなり、視聴率が低下するのは当然の帰結なのだ。

図(日本の報道の自由度ランキング推移:2016年) 出典:データを基に筆者が作成

図(日本の報道の自由度ランキング推移:2016年) 出典:データを基に筆者が作成

 特に大手の新聞社やテレビ局は、従順な偏差値秀才が集まる場所になっており、権力の監視が仕事だという意識は皆無である。むしろ逆に、政権の広報機関に成ろうと熱心に動いている。総理大臣を番組に招いて気持ち良くしゃべって頂き、内閣支持率アップに貢献する・・・ 亡国の風景を演出している取り巻きたちに存在価値はない。プライドを持たない卑屈な人間が主流派として大きな顔をしている状況は、まさに異常である。権力層に対して臆せず批判を行う人間が主流派にならなければ、民主主義は機能不全のままである。

写真(バラエティ番組に出演する安倍総理) 出典:フジテレビ

写真(バラエティ番組に出演する安倍総理) 出典:フジテレビ

参考ビデオ:


以上

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