【福島原発の周辺地域】病院に常勤医師がおらず、地域医療を支えることが困難。

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 事故を起こした福島第一原発から約20kmに位置する高野病院では、常勤の医師が一人もおらず、地域医療を支える体制が成り立っていないという。2017年1月6日付のジャパンタイムズがこの件を記事にしている。該当するリンクを以下に示す。

Death of doctor in Fukushima disaster zone hospital throws patients’ futures into question

以下に要点を記す。

要点初め
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写真(福島県広野町にある高野病院) 出典:高野病院のウェブサイト

福島県の広野町にある高野病院は、2011年の原発事故以降、地域医療を支えてきた。81歳の老人がただ一人の常勤医師として頑張っていたが、2016年12月30日の夜に起こった火事に巻き込まれて亡くなった。

広野市は現在、100人いる入院患者のためにも、高野病院を存続させるべく奔走している。ボランティアの医師たちによって2017年1月までは運営される予定だが、その後はどうなるか分からない。

高野病院は、広野町だけでなく双葉地域の医療も担ってきた。原発事故後も運営されてきた唯一の病院なのである。他にも5つの病院があったが、すべて閉鎖されてしまった。

福島原発事故後、広野町の住民には避難命令が出されたが、2011年9月に解除された。しかし、現在の人口は事故前の6割程度に留まっている。

高野病院は原発事故後、一日も休まずに地域医療を担ってきた。除染や廃炉を行う約3500人の作業者たちも支えてきたのだ。

しかし、常勤の医師が一人もいない今の状態は違法である。医療の質の安定性が損なわれるからだ。一刻も早く常勤の医師を見つけなければならないが、難航している。原発事故以降、病院の経営状態は悪くなったが、民間病院であるがゆえに税金による援助が得られない。

あれから6年が経とうとしているが、原発事故の傷跡は未だに癒えない。高野病院の事例は決して対岸の火事ではなく、全国の原発を抱えている地域ならばどこでも起こる可能性があるのだ。
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要点終わり

 高野病院は常勤の医師が亡くなってしまったため、代わりの医師を探しているとのことだが、本来ならば、入院患者や地域住民と共に、汚染度が少ない地域へ避難・移転すべきである。

 放射性物質に汚染された地域は少なくとも300年は居住することができない。何兆円もかけて無駄な除染作業をするくらいならば、そのお金を移住費用などに充てるべきだ。日本政府は下記の施策を早急に実行しなければならない。

①放射能レベルの正確な測定を日本全国で行い、結果を全て公表する。
②外部被ばくだけでなく内部被ばくの危険についても、最新の知見を国民へ提供する。
➂避難・移住地域選定については、最低限、チェルノブイリ基準を適用する。

出典(明かり新聞)
出典(明かり新聞)

④避難・移住先で不自由がないように、住居、仕事、収入については十二分に援助する。
⑤避難対象者の医療費については生涯無料とし、診断結果は本人へ丁寧に説明する。
⑥原発は即時に廃止し、福島原発も含めて廃炉作業は安全第一で進める。

 安倍政権をはじめとする原発マフィアがやっていることはすべて、これらの原則に反している。国民を危険地域に放置して、壮大な人体実験でもやりたいのか?

写真(放射性セシウムによる土壌汚染) 出典:IPPNW-Report "Health consequences resulting from Fukushima Update 2015"
写真(放射性セシウムによる土壌汚染) 出典:IPPNW-Report “Health consequences resulting from Fukushima Update 2015”

 放射性物質は、目も眩むような閃光を発しない。鼻を突くような異臭がない。耳をつんざくような爆音もしない。顔をしかめるような激痛もない。だからこそ、科学的な知識、利害関係者以外からの情報、健康被害への想像力、冷静な思考力・判断力、雰囲気に流されない自律心などが必要になる。「見て見ぬふり」や「臭い物に蓋」は身を滅ぼす。日本政府が言っている「安全神話」を易々と信じている人が多いのには驚かされる。自分の身を守るために、権力に対して声を上げなければならない。

以上

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【海外メディアも批判】安全キャンペーンのために高校生を高線量エリアに連れて行った東電は恥を知るべき!

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写真(防護服も着ないで福島原発構内を見学する高校生たち) 出典:environews

 冒頭の写真をご覧になったことがあるだろうか?2016年11月18日、福島県内の高校生13人を、福島原発の事故現場にバスで案内した時のものである。この教育目的ツアーは東京電力が主催者であり、高線量地帯にも関わらず防護服も着せずに未成年者を連れ込んだとして、かなりの批判が起こった。海外での評判も極めて悪い。以下に関連記事のリンクを記す。

参考リンク:
Shame on TEPCO For Taking Kids into Fukushima Exclusion Zone for Damage Control Campaign

 上記リンク先の記事要旨を以下に記す。参考にして頂きたい。

記事要旨始め
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破壊された福島原発周辺の高線量地帯に高校生を連れ込むなど、到底、受け入れがたい行為であり、放射性物質が完全になくなるまで二度とこのようなことをしてはならない。東京電力は恥を知るべきだ。

これ以下の値ならば安全だという放射線閾値は存在しないことが、疫学的も医学的にも証明されており、どんなに少量でもガンになる確率は高まっていく。

福島原発事故以来、日本では、政府による「アンダーコントロール」キャンペーンが行われており、今回の教育ツアーもその一環だ。東京電力は子供たちの家族に謝罪し、再発防止を国民に対してに誓うべきだ。

福島原発周辺は依然として極めて危険な場所である。放射性物質は目に見えないし、その場ですぐに症状が現れる訳ではないが、ある年数が経ったところで健康被害が発生する。子供や孫の世代で、出生異常・病気・ガンを引き起こす。

放射線によりガンが発生するまでの期間は4~50年と幅広い。年配の人間よりも若い世代の方が影響を受けやすい。将来子供を作るであろう女子高生を、安全キャンペーンに利用する目的で高線量地帯に案内することの犯罪性が理解できる。原子力に関する教育が目的ならば他の安全な手段を選択すればよい。

東電は根拠のない安全キャンペーンや事実の隠ぺいにいそしんできたと言っても過言ではない。2016年、東電は福島原発事故について世界中にウソをついていたことを認めている。原子炉内でメルトダウンが起こっていることは事故から数時間後に把握していたのに、それを数か月間隠していたのだ。このウソ・隠ぺいにより避難が遅れ、多くに人が危険にさらされた。東電の幹部3人は、業務上過失致死によって起訴されている。

日本政府は福島原発事故当初から原子力利権を守ることに熱心であり、そのための安全キャンペーンに熱心であった。キャンペーンの中でも最大のものが、2020年の東京オリンピック誘致である。国際社会の懸念をよそに、多額の費用をかけて行われた。安倍総理は国際社会に対してアンダーコントロール発言を行い、原発反対の声は抑圧され、真実の声は消されていった。

日本政府は、プライドを捨てて誠実な態度で、国際社会の助けを借り、福島原発廃炉を進めるべきだ。

福島原発の事故現場はアンダーコントロールとは真反対の状態であり、制御不能である。1100個を超える巨大な汚染水タンクは敷地を覆い尽くしている。メルトダウンした原子炉の下から、ウランとプルトニウムに汚染された水が地下水経由で海に流れ出ている。このような危険な場所に若い世代の人間を連れてきてはいけない。

原則として、原子力利権に関係する会社を学生の教育に関与させてはならない。利害関係者は、原発のメリットばかりを強調し、デメリット(事故の危険性、放射性廃棄物問題など)を説明しない。子供たちは簡単にダマされ、洗脳されてしまうのだ。学校関係者は反原発派の知見を積極的に取り込むべきだ。
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記事要旨終わり

以上

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【福島原発事故】廃炉・賠償・除染の費用は東京電力に負担させよ。

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 安全対策を疎かにした挙句、福島原発事故という巨大犯罪を犯した東京電力。その経営者は、誰一人として刑務所に入れられることなく、安倍政権の手厚い保護を受けている。原価総括方式にも守られて、2015年3月期の純利益は5210億円にも上る。東電の株主もお金を貸し出している銀行も安泰だ。

 その一方、安倍政権は、福島原発事故で汚染された広大な地域の除染費用に税金を投入することを決めている。責任者である東電が負担するという今までの方針から逸脱するものであり、国会などでの審議もなく、政府が独断専行で決めたのだ。税金による東電救済という批判は免れない。避難者の故郷への帰還を加速するため、という言い訳をする暇があったら、東電への責任追及を厳しく行うべきだ。

 福島第一原発周辺は高レベルの放射性物質に汚染されて人が住めないが、政府は、除染作業を行うための予算を確保している。今後5年以内に警戒区域の避難命令を解除し、復興を加速させたい意向だ。残念だが、チェルノブイリの例を見ても分かる通り、除染をすれば人が住めるようになるというのは幻想だ。労多くして効果が少ないというのが現実なのだ。原発事故で土地が汚染されたら、少なくとも300年間は人が住むことができない。無駄なお金をかけず、避難者の避難先での生活安定のために力を尽くすのが政治家の本来の任務である。事故を起こした福島原発からは今でも、地下水・海・大気へ放射性物質が漏れ続けているが、これを何とかするのが先決だろう。東京オリンピックのために上辺だけの復興を演出している場合ではない。

 無理に除染をして、年間の累積被ばく線量を20ミリシーベルト以下にすれば避難者が帰還しても構わない、というのが政府の方針だ。しかし、福島原発事故前は、年間1ミリシーベルト以下だったのであり、根拠もなく基準を20倍も緩和する姿勢は人命軽視そのものである。しかもこれらは、身体の外から放射線を浴びる外部被ばくの数値に過ぎない。放射性物質は目に見えず臭いもしないが、至る所に存在しており、呼吸や食事を通じて体内に取り込まれ、内部被ばくの危険を避けることができないのだ。内部被ばくの脅威については、下記リンク先を見て頂きたい。

【福島原発事故】放射性物質の汚染により発生する健康被害とは?

 水俣病などの悲劇を教訓として、環境を汚染した当事者が賠償するという原則がある。福島原発事故への対処方法を定めた特別法にも、東京電力が費用負担しなければならないと明記されている。何兆円という単位の無駄な除染費用をどうしても税金から支払うならば、東電はその分を後で返還しなければならない。その東電の返還負担を無くすため、政府は特別法の改正を予定している。

 「税金で東電を救済するな!」という批判に対して政府は、「警戒区域からの避難者に対して東電はすでに賠償金を支払っている」とか言い訳をしている。

 福島第一原発の廃炉費用・避難者への賠償金・除染費用を合わせると、すでに21.5兆円に膨れ上がっている。この数字は今後も上昇する見込みだ。経済産業省は、賠償費用の一部を電気料金に上乗せして電気利用者に負担させることを目論んでいる。日本人はお上の言うことは素直に聞くし、奴隷根性が染みついているため、大した反対運動も起こらず電気代アップを受け入れるだろう。「責任者である東電が全額負担しなければならないという原則は、政治意識の低い日本国民の意識から消えていくはずだ。」 これが、安倍政権のたくらみである。馬鹿にされたものだ。

 責任者である東電をこれほどまでに甘やかすのは、自民党政権自体が経団連などの財界に操られているからである。財界からの多額の政治献金や選挙での協力は政権維持に欠かせない。また、財界は天下りポストを多数用意してくれているので官僚にとっても欠くべからざる存在だ。税金や電気料金を払う庶民や、放射性物質の脅威にさらされる人たちの立場や気持ちに配慮する筈がないのだ。

 東電の責任を厳しく追及すれば、電力業界全体を敵に回すことになる。原発は複雑で巨大なシステムであり、多くのメーカーや建設会社が関与している。みんな自民党の応援団だ。東電に賠償させて経営を傾かせれば、投資家や銀行などが損失を被ることになる。彼らも自民党の応援団だ。つまり、原子力利権者たちや資産家富裕層など1%の人たちの利益を代弁しているのが今の自民党であり、その他99%は搾取される対象でしかない。我々有権者はこのことを肝に銘じて選挙に臨まねばならない。

参考リンク:
The cost of cleaning up Fukushima

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【核燃料サイクルは不要】高速増殖炉もんじゅの失敗をこれ以上繰り返すな!

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写真(廃炉になる実験炉もんじゅ)

 愚者は自分の失敗に学び、賢者は他人の失敗から学ぶと言われている。では、自分の失敗からも学べない者を何と表現すればいいのだろう。

 今回は、福井県敦賀市にある高速増殖炉もんじゅの話である。

 高速増殖炉は、消費した量以上の燃料を生み出すことができる「夢の原子炉」と呼ばれてきたが、研究用原子炉であるもんじゅは、長期間に渡って様々なトラブルに見舞われ、2016年12月21日に正式に廃炉が決まった。遅きに失した感がある。しかし政府は、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル事業を続けるため、高速実証炉の開発に着手する方針を決めた。2018年までに、そのためのロードマップを作成する予定だ。

 このまま惰性で開発を続けていいものだろうか?今すべきことは、もんじゅが失敗に終わった原因の精査である。核燃料サイクル事業は現実味のあるものなのか、日本にとって必要なのかどうか公の場で議論する必要がある。

 もんじゅは1994年に臨界を達成したが、1995年に、冷却剤として使用しているナトリウムの大量漏洩事故・火災を起こし、その後はほとんど停止したままの状態が続いていた。2015年11月、原子力規制委員会は、日本原子力研究開発機構にもんじゅの運転を任せるのは不適当だと判断し、別の運営主体を示すよう文部科学大臣に勧告した。しかし、それができないまま、廃炉が決定したのである。

 長年に渡り我々の税金が1兆円以上投入されてきたもんじゅは、過去22年の間に稼働したのはわずか250日に過ぎず、100%の出力運転をすることは一度もなかった。新しい安全基準を満たすためには、さらに8年の歳月と5400億円の費用がかかることが判明している。もんじゅの廃炉は不可避だが、廃炉自体にも30年以上の歳月と3750億円の費用を要するのだ。なんという金食い虫だろう。

 科学的な視点と政策的な視点からもんじゅ失敗の原因を精査することもせずに、新たな高速実証炉開発に着手するなど、愚の骨頂である。

 原発から出た使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し再利用する、という核燃料サイクル事業に日本政府は長年固執してきた。もんじゅの高速増殖炉という技術は、核燃料サイクルの中核を成すものであった。もんじゅで使われてきたMOX燃料は、プルトニウムとウランの混合体であり、通常の燃料よりもはるかに多くの費用がかかる。しかし政府は、通常の原発にもMOX燃料を使用することを推し進めている。結果として、MOX使用は低いレベルに留まっている。2011年の福島原発事故以来、原発再稼働が思うように進んでいないからだ。

 研究炉もんじゅが廃炉になるのに、新たな実証炉開発に必要な知見をどのように得るつもりなのだろうか?政府は、フランスとの共同プロジェクト(ASTRID)や、常陽という実験炉(高速増殖炉)から知見を得られると主張している。しかし、ASTRIDは設計段階に過ぎず、日本側の費用負担額も不明確だ。政府は公の場での説明を未だに行っていない。

 莫大なお金を要する高速増殖炉の新規開発推進計画が、原子力利権者という限られた者たちだけで進めらていることも問題だ。経済産業大臣、文部科学大臣、もんじゅ運営主体である日本原子力研究開発機構のトップ、日本電気事業連合会の会長、原発メーカである三菱重工の社長が、高速増殖炉の開発委員会に名を連ねているのだ。もんじゅの失敗を公の場で議論もせずに、原発マフィアたちだけで原発政策が決められていい筈がない。

 日本政府が核燃料サイクル事業に固執するのには理由がある。もしも核燃料サイクルを放棄したら、日本中の原発で使用済み核燃料が積み上がり保管場所から溢れ、原発の再稼働が不可能になるからだ。青森県にある核燃料再処理施設は、技術的な問題や莫大なコストが原因で未だに完成しておらず目途も立ってない。日本の原発の使用済み核燃料は海外の施設で処理されているが、日本に送り返されてきたプルトニウムは48トンにも達しており、使う予定もない。そのため、核兵器不拡散の観点からも懸念の声が上がっている。

 福島原発事故以降、それ以前の原発安全神話は通用しなくなっており、日本政府は、原発への依存を減らし再生可能エネルギーへシフトして行かざるを得ない。こんな状況で核燃料サイクル事業を推し進める理由はない。日本政府をはじめとして、説得力を持って説明できる者はいないだろう。

 このまま惰性で原発政策を続けさせてはならない。原発利権者だけで情報を独占させてはならない。過去の失敗から学ぶことができないような連中に判断を任せていたら、取り返しのつかない事態を招くことになるだろう。

参考リンク:
「Review the failure of Monju」

以上

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核燃料再処理工場の後始末に苦しむイギリスが、日立製作所へ原発を発注!「支援」のため、日本人の税金が1兆円も投入される・・・

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 セラフィールドという名の核燃料再処理工場群は、イギリスの北西部に位置します。

写真(セラフィールド施設)

写真(セラフィールド施設地図)

 1957年に世界初の原子炉重大事故を起こし、周囲の広大な陸地と海洋を放射性物質で汚染しました。被爆による健康被害も深刻です。詳しくは、原子力資料情報室さんの下記リンクをご覧ください。

「セラフィールド再処理工場からの放射能放出と白血病」

 事故で放射性物質が放出されても避難命令を出さず、白血病が増加している事実を30年間も隠ぺいするなど、英国政府の悪質ぶりが話題になりました。

 元々は核兵器の材料であるプルトニウムを生産するのが目的の施設でした。日本との関係が深く、日本国内の商業用原発から発生した使用済み核燃料の処理をセラフィールドで実施していました。

 セラフィールド核施設は1956年に運転開始し、2003年に運転終了しました。除染・廃炉・廃棄物処理といった後始末にかかる費用は530億ポンドになる予定です。1ポンド=181円とすると、9兆5400億円になります。また、後始末の完了予定は2120年とのことです。原発の厄介な問題に悩まされているのは日本と同じですね。

イギリスのBBCが2015年3月4日付で関連記事を書いているので、以下にリンクを貼ります。

「Sellafield clean-up costs rise to £53bn, says NAO」(セラフィールドの後始末費用が530億ポンドに跳ね上がる:英国会計検査院)

 上記リンク英文記事の一部を以下に引用します。( )内は私の日本語訳です。

引用始め
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「The cost of decommissioning and cleaning up the Sellafield nuclear site in Cumbria has increased by £5bn to £53bn, says the National Audit Office.」
(カンブリアにあるセラフィールド核施設の廃棄・除染費用が50億ポンド増えて530億ポンドになった、と英国会計検査院が発表した。)

「Margaret Hodge MP, chair of the Public Accounts Committee (PAC) which commissioned the report, said the cost hike was “astonishing.”」
(その報告書を作成させた決算委員会で委員長を務めるMargaret Hodge MPは、コストの上昇は凄まじいと述べた。)

「A year ago, the Nuclear Decommissioning Authority, the body responsible for the clean up, said the cost would be £48bn.」
(廃棄・除染に責任を持っている原子力廃止措置機関は一年前、費用は480億ポンドになるだろうと言っていた。)

「The work is also behind schedule, the report said.」
(廃炉作業も予定より遅れていると報告された。)

「The Authority gave the £9bn Sellafield clean-up contract to Nuclear Management Partners (NMP), but following criticism of NMP’s competence, decided in January to cancel the contract.」
(原子力廃止措置機関は、90億ポンドのセラフィールド廃炉作業契約をNMPと結んだ。しかし、NMPの能力に対して批判が高まり、1月に契約を解除することを決めた。)

「”It is galling that breaking the contract will cost the public purse £430,000,” said Mrs Hodge, whose committee recommended the Authority consider doing this a year ago.」
(「契約解除により43万ポンドの公金を支出しなければならないなんて腹立たしいです」、とHodgeさんは述べた。彼女の決算委員会は一年前、原子力廃止措置機関に対して契約解除を勧めている。)

「The total cost of cleaning up the UK’s 17 nuclear sites is “around £70bn”, the NAO says.」
(イギリスに17か所ある原子力発電施設を廃棄・除染するには、全部で約700億ポンドかかる、と英国会計検査院は述べた。)

「Sellafield is the “UK’s largest and most hazardous nuclear site”, including two nuclear fuel reprocessing plants, waste management and storage plants, as well as storage ponds and silos containing waste from the UK’s first nuclear plants.」
(セラフィールドは、イギリス最大で最も危険な核施設だ。そこには2つの核燃料再処理工場、廃棄物管理貯蔵施設、さらには、イギリス初の原発から出た廃棄物を保管するプールや地下貯蔵庫がある。)

「The Authority aims to clear the site by 2120.」
(原子力廃止措置機関は2120年までにセラフィールドの廃炉・除染作業を終わらせる予定だ。)
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引用終わり

 このような巨大な負の遺産を抱えるイギリスは原発推進に消極的だと思っていましたが、原発を新設すると最近聞き、少なからず驚きました。日立製作所の英国子会社が、英国政府から原発の建設・運営を受託したのです。国際協力銀行(JBIC)や日本政策投資銀行が投融資するのですが、総額1兆円規模になる公算が大きいです。日本人の税金がまたもや無駄遣いされるのです。

写真(日立の英国原発受注)

 今後、運用開始されて以降に事故が起こった場合の損害賠償や、廃炉にかかる費用も日本人の税金から捻出されるのでしょうか?この件に限らず、日本政府は、経団連に属する大会社を支援するためならば躊躇せずに大盤振る舞いします。選挙の時の応援や、企業献金が目当てなのでしょう。

 その一方で、日本国民の99%に対してはとても冷たい仕打ちをしています。生活保護受給者を目の敵にし、年金をカットし、医療機関への支払い負担を増やし、教育ローンで若者を苦しめ、不安定雇用を助長し、格差の拡大と社会の不安定化は留まるところを知りません。福島原発事故によって避難した人たちが、高汚染地帯へ帰還せざるを得ないように支援を打ち切るなど、冷酷さを隠そうともしません。

 このままいけば、日本は、ほとんどの人間がまともに暮らせない社会になってしまいます。自民党政権の暴走を止めるために有権者がすべきことは明らかです。

以上

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「原発事故の被害は自動車事故と比べて大したことない」と勘違いしている人へ

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上図(福島原発事故による放射性物質の拡散)  出典: NOAA(米国国家海洋気象局)、US Navy(米国海軍)、GEBCO

 原発事故と自動車事故を無理に比較して、原発事故被害を過小評価する人がいることを最近知りました。原発マフィアの手下なのかも知れませんが、基本的知識や最低限の想像力に欠ける人の無責任発言を聞くと本当に疲れます。

 しかし、発言主が著名人だったり立派な肩書を持っている場合、聞く側が用心していないと簡単にだまされてしまうケースも多いのです。だまされない為には情報収集と共に、自分の頭の中を整理する必要があります。

 IPPNW(=International Physicians for the Prevention of Nuclear War:核戦争防止国際医師会議)が役に立ちそうな記事を書いているので、リンクを以下に貼ります。( )内は私の日本語訳です。

「Why nuclear disasters are different from any other」(原発事故は他の事故と何が異なるのか)

 上記リンクの英文記事を以下に引用します。( )内は私の日本語訳です。参考にしてください。

引用始め
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「Frequency of occurrence and causes:
In the year 2015 there exist approximately 440 nuclear power plants (NPPs) in 28 countries, often in areas of high population density. After the NPP accidents of Three Mile Island (USA, 1979), Chernobyl (1986) and Fukushima (Japan, 2011) nuclear disasters unfortunately can no longer be considered hypothetical or unlikely. Among the diversity of the causes of accidents, technical malfunctions, human error, aging facilities, fire risk, exceptional climatic events, terrorism and plane crashes have to be mentioned.」
(事故の発生頻度と原因:
2015年現在、世界28か国に原子力発電所は約440基存在し、その多くが人口密集地域に位置している。スリーマイル(1979年:アメリカ)、チェルノブイリ(1986年)、そして福島(2011年:日本)で事故が起こって以降は、原発災害のことを起こりそうもない想定上のことだと言えなくなってしまった。事故原因は多岐に渡っており、技術的欠陥・人間が冒すミス・経年劣化・火事の危険・気象異変・テロ・飛行機の墜落激突を考慮に入れねばならない。)

「Magnitude, complexity and nuclear fallout:
Nuclear disasters are not comparable to other types of natural or technological disasters because of their magnitude and complexity and the high risk of regional and global radioactive contamination by a large diversity of released radio-enuclides, which are invisible, odorless and frequently long lasting.」
(事故の規模・複雑さ・放射性物質:
原発災害は規模が大きくて複雑なだけでなく、放出される放射性物質が多種類で広範囲を汚染する危険性が高い。放射性物質は目に見えず、臭いもせず、長期間留まることが多い。それ故、原発災害は、他の自然災害や技術ミスによる事故と比較できる代物ではないのだ。)

「Management:
managing nuclear disasters is very complicated as emergency measures are extremely difficult, due to possibly high radiation levels of the site of the accident. Furthermore, the geographical and meteorological situations may influence salvage measures. Long term management may require costly wide-spread decontamination and storage of large amounts of high level radio-active waste.」
(管理の困難さ:
原発災害の管理はとても複雑なものだ。事故現場の放射能レベルが高くなっていると、緊急対応策の実行は極めて困難になる。さらには、地理的・気象的要因が対応の足を引っ張る可能性がある。広範囲の除染には多額の費用がかかり、高レベル放射性廃棄物を大量に保管しなければならないなど、原発災害の長期的管理には困難が伴う。)

「Immediate and long-term health effects:
Due to ionizing radiation nuclear disasters may have serious immediate effects on the health of the salvage teams. Due to their limited operating times in a high radiation environment, recruitment of large numbers of liquidators must be anticipated. Besides short-term health effects, environmental contamination may have serious long-term consequences for the health of the population and animals living in the vicinity of the NPPs. In particular pregnant women and small children may sustain genetic damage, which could be expressed only years after exposure. Other long-term effects are different neoplastic and non-neoplastic diseases.」
(健康面での急性障害・長期的影響:
原発災害で発生する電離放射線により、原発作業員は深刻な急性障害に陥る可能性がある。線量が高い環境下では作業時間が限られるため、原発作業員の大量募集を想定しなければならない。急性障害だけではない。環境が放射性物質で汚染されるため、原発周辺の住民や動物が長期的に深刻な健康被害を受ける可能性がある。特に妊婦や小さな子供は遺伝子が損傷する可能性があり、それが明らかになるのは被爆後何年もしてからだ。長期的影響は他にもあり、腫瘍性疾患と非腫瘍性疾患に分けられる。)
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引用終わり

下記リンク先の記事も、是非ご確認ください。

【100万人以上の犠牲者】チェルノブイリ原発事故による健康被害を直視せよ。

 原発はすでに、世界中の保険会社から相手にされていません。上述した様々なリスクが大き過ぎて、保険を引き受けることが不可能なのです。自動車保険は星の数ほどありますが、原発保険は社会的に成り立たないのです。これが現実です。物事の一側面だけを見て、単純に自動車事故と原発事故を比較することの間違いに気付いて頂きたく思います。

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福島第一原発の排気塔が倒壊の危機!倒壊すれば大量の放射性物質が放出・拡散される。

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 10分以内に人間が死に至る放射線レベルとは、一体どのようなものでしょうか?具体的なイメージが湧く人は少ないでしょう。例えば、1999年に東海村のJCOで起きた臨界事故では作業者が被ばくし、下写真のような状態になりました。

写真(東海村臨界事故被害者)

 この被害者は被ばく後、急性放射線障害によって地獄の苦しみを味わいながら数か月後に亡くなられました。10分以内に死に至る放射能レベルは、これよりもはるかに危険なものです。

 このような危険な場所が、現在、日本に存在します。その一つが、福島第一原発の排気塔です。

写真(福島第一原発の排気塔)

 この排気塔は2011年3月の原発事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げるベント(排気)で使用して汚染され、非常に強い放射線を放っています。高さ120mの排気塔は、根元部分で毎時25シーベルトの放射線を放っており、近くに人間がいれば10分以内に死亡します。そのため、原発事故以来、修理作業員は立ち入り禁止になっています。

 2011年3月の福島事故が起きる前は、鉄の腐食を防ぐために検査と再塗装を東京電力が定期的に実施していました。しかし今は誰も近づけないため、この排気塔は経年劣化で腐食し続けています。定期点検ができず、塗装効果が期待できない場合は、鋼材の寿命は数年です。しかも、排気筒の高さ66メートル地点にある支柱の鋼材接合部で、破断や変形が計8カ所確認されました。破断は事故の際の水素爆発で生じたようです。

写真(福島第一原発排気塔の損傷部分)

 原発事故以降も地震は頻発しており、この排気塔は倒壊の危険性が高いのです。しかし、線量が高すぎるため作業員が近づけず、補強などの必要な緊急対策を行うことすらできません。

 東京電力は排気筒の強度について「東日本大震災と同程度の地震(震度6強)でも倒れない」と言っていますが、今時、このコメントを真に受ける人はいないでしょう。支柱が破断して倒壊する危険があるため、原子力規制委員会から解体を求める意見が出ています。当然です。しかし、どのような方法で解体作業をするのでしょうか?

 東京電力によると、非常に強い放射線を放っているため、遠くから大型クレーンなどを使って解体するそうです。2018年度から上半分の解体に着手し、2019年度までに終わらせるという東電の計画が仮に実行可能だとしても、解体工事中に倒壊事故が起きて内部の放射性物質が大量放出・拡散しない保証はありません。

 このような状況でもあるにもかかわらず、2016年11月18日、13人の高校生がマスクもせずに福島第一原発の現場をバスで2時間見学しました。顧問の教諭は「生徒らは自分たちのふるさとの復興を進めるため、何かできないかと活動してきた。今日見たものがさらなる原動力になるはず」と述べてますが、無知とは怖いものです。

写真(福島第一原発の構内を見学する高校生) 出典:朝日新聞

 安倍総理は、東京オリンピック招致活動のために、「福島原発はコントロールされている状態だ」と言いましたが、信用してはなりません。

 大手マスコミは上辺だけの復興の演出を手伝うのではなく、生命の危機に直結する情報を積極的に流してほしいものです。

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【オススメ】美味しんぼ「福島の真実」編は秀逸なルポルタージュである。

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 「美味しんぼ」はグルメ漫画として一世を風靡し、単行本の累計売上部数は1億冊を超えている。福島原発事故後、鼻血の描写でバッシングされたのは記憶に新しい。

 『ビッグコミックスピリッツ』2014年22・23合併号に掲載された「美味しんぼ 第604話 福島の真実その22」において、次の描写が批判の的になった。

・登場人物が福島第一原発に取材に行った後、疲労感をおぼえたり鼻血を出したりするなど、体調の異変を訴えた。
・前福島県双葉町長の井戸川克隆氏が「私も鼻血が出ます。私が知るだけでも同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです。」と言った。

図(美味しんぼの一場面)
図(美味しんぼの一場面)

 これらの描写に対して、作者や編集部に対して猛烈なバッシングが起こり、現職の大臣までもが不快感を表明するなど異常な事態となった。

 しかし、福島の鼻血問題を最初に提起したのは美味しんぼではなく、実は自民党なのである。2012年4月25日参議院の憲法審査会に出席した自民党議員の山谷えり子氏は、井戸川克隆氏の「私も鼻血が出ます。私が知るだけでも同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです。」という趣旨の発言を引用し、当時の民主党政権に対して、「双葉郡民は憲法上の国民ではないのか」と、対策を迫っている。不思議なことに、この時の国会での発言に関しては、政府も自民党も県も双葉町も一切問題としておらず、批判は起こらなかった。

 民主党政権時代に野党の自民党が鼻血問題を提起しても問題にならないが、安倍自民党政権下で『ビッグコミックスピリッツ』が鼻血場面を描写すると大問題になる。この奇怪な現象は、報道の自由度ランキングの推移を確認すれば納得できる。

図(日本の報道の自由度ランキング推移:2016年) 出典:データを基に筆者が作成
図(日本の報道の自由度ランキング推移:2016年) 出典:データを基に筆者が作成

 民主党政権は短命で終わったが、報道の自由度については世界的な評価が高かった。しかし、自民党の安倍政権が樹立されて以降、ランキングは急降下し、報道機関に対する圧力が露骨になった。大手御用マスコミの自主規制は特にひどく、政府にとって都合の悪いことはほとんど報道されなくなった。このような状況下で原発推進側にとって触れて欲しくない鼻血問題が提起されれば表現者側が叩かれるのは当然の結果であろう。「私も鼻血が出ます。私が知るだけでも同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです。」という発言や鼻血の描写は事実なので問題はないが、それを受け止めなれない環境になってしまったのである。

 さて、鼻血問題で世間の認知度をさらにアップした漫画「美味しんぼ」だが、「福島の真実」編が納められている単行本の110巻と111巻を購入して読んでみた。グルメ漫画だけあって福島県の郷土料理のことがたくさん紹介されている。作者自身の福島県に対する思い入れが強く、根底で福島県民に対する温かい気持ちを感じ取ることが出来た。その一方で、放射性物質に汚染された厳しい現実もしっかり指摘している。権力の御機嫌取りをすることもなく、心地よいウソに流されず、事実を積み重ねて結論を出そうとするスタイルはルポルタージュと言ってよい。漫画という表現方式を用いた秀逸なルポルタージュである。

 今はバッシングの対象となっているが、遠い将来には歴史的な高い評価を受けることになるだろう。以下にリンクを示すので、実際に読んでみることをお勧めする。

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 「美味しんぼ」110巻と111巻から、海原雄山(登場人物の一人)のセリフをいくつか引用する。

引用始め:
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「この畑も、風向き次第では放射性物質を浴びただろう。風向き次第でこの豊かな自然を失っていたかと思うと、身の毛がよだつ。この、“危機と紙一重”というのが、福島の真実だ。」

「豊かな南相馬の地に、今は入ることができない。南相馬だけではない、いくつかの地域に立ち入ることができなくなった。それは国土を喪失したに等しい。」

「安全なものは安全、危険なものは危険、きちんと見極めをつけることが福島の食材には必要なのです。消費者に真実を伝えなければいけない。」

「いったいどれほど貴重なものをわれわれは喪失してしまったのか。豊かさも喜びも輝きも幸せも。失ってはならぬものを失ってしまった。」

「真実を知らせたくない人間。何もかもうやむやにごまかしたい人間。そしてその嘘の上塗りに手を貸すマスコミ。」

「心温かくわれわれをもてなしてくれるひでじい。美しい山、さわやかな山菜。何一つ欠けるもののない素晴らしさだ。それなのにどうしてみんなの心はこわばってしまったのか。それはこの美しく豊かな福島の大地を、目に見えぬ凶悪なものが覆っているからだ。この凶悪な存在が福島の大地を深く傷つけ、人の心を凍えさせる。これが福島の真実だ。」

「原発安全神話が崩れたから、今度は放射線安全神話を作る気だ。」

「問題は、幸運にも山に囲まれて放射性物質の直撃を避けられて、安全とされている古殿町の生産物でも、食べるか食べないかは自己の責任で判断することを要求されるというこの事実だ。」

「あちこちで人々の生き甲斐が奪われていっている。これが福島の真実だ。」

「(福島原発の視察を終え)一番の印象は、破壊の程度が想像をはるかに超えていて、それに対する処置がすべて応急処置でしかないことだ。」

「放射線の被害というとガンのことばかり取り沙汰されるが、政府は体のあらゆる症状について予見を持たずに調査すべきだ。」

「あの方たちの平和な生活を奪った東電と国は、あの方たちの人の良さ、我慢強さをいいことに何も責任を取っていない。」

「政府は、自分たちと東電の利益のために、福島を安全だと言う。」

「福島に住んでいる人たちの心を傷つけるから、住むことの危険性については、言葉を控えるのが良識とされている。だが、それは偽善だろう。低線量の放射線は安全性が保証できない。国と東電は福島の人たちを安全な場所に移す義務がある。私は一人の人間として、福島の人たちに、国と東電の補償のもとで危ない所から逃げる勇気を持ってほしいと言いたいのだ。特に子供たちの行く末を考えてほしい。福島の復興は、土地の復興ではなく、人間の復興だと思うからだ。」
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引用終わり

 鼻血問題で猛烈なバッシングを受けた後、沈黙を守っていた原作者の雁屋哲氏が次の書物を出版した。

美味しんぼ「鼻血問題」に答える

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 本書では、「風評被害」だと騒いでバッシングを行った者たちに対する反論がされている。漫画で描いた汚染状況に関して補足説明をするとともに、内部被ばくの恐ろしさについても詳述している。そして最後にこう結論付けているのだ。

「福島の人たちよ、自分を守るのは自分だけです。福島から逃げる勇気を持ってください。」

 たとえ悪者になっても、勇気をもって真実を語るのが自分の生き方だと、原作者:雁屋哲氏は述べている。なかなか出来ることではない。この本を読むと、「福島を食べて応援しよう」などと言っている人間の軽薄さが良く理解できる。

 美味しんぼ:110巻、111巻と合わせて読まれることをお勧めする。

以上

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福島県内の自動車整備工場で洗車汚泥が高濃度放射性廃棄物と化している。この問題は氷山の一角に過ぎない・・・

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 福島県内には、国が認証した自動車整備工場が約1700か所あります。自動車を洗車した時に発生する汚水は地下に溜められ、油・水と汚泥が分離され、有害でない水だけ排水されています。福島原発事故以降、沈殿した汚泥は高濃度の放射性廃棄物と化しています。

図(洗車場の油水分離槽) 出典:東京新聞
図(洗車場の油水分離槽) 出典:東京新聞

 第三者機関による調査では、整備工場1700か所のうち36か所を調べたにすぎませんが、国の指定廃棄物基準(1キログラム当たり8000ベクレル超)の7倍以上(最大57400ベクレル)の放射性物質を検出していたことが、業界三団体への取材で判明しました。

参考リンク:
福島の整備工場 洗車汚泥に放射性物質

Car wash septic tanks emerge as radiation threat in Fukushima

 福島原発事故により、チェルノブイリ原発事故よりも多い放射性物質が世界中に拡散しました。現在も放出し続けており、東日本一帯は特に汚染状況がひどいのです。

写真(放射性セシウムによる土壌汚染) 出典:IPPNW-Report "Health consequences resulting from Fukushima Update 2015"
写真(放射性セシウムによる土壌汚染) 出典:IPPNW-Report “Health consequences resulting from Fukushima Update 2015”

 福島県内の自動車整備工場で放射性廃棄物が蓄積されていても何の不思議もありません。この件で何が問題なのか、以下に箇条書きします。

・法律による報告義務は、下水の汚泥と焼却灰だけが対象とされており、多くの抜け穴がある。

・福島県内の自動車整備工場だけで数千トンの高濃度放射性汚泥が溜まっている。汚泥が溢れないように、健康不安におののきながら手作業で汚泥を汲み上げる作業をしている。

・業界団体は何年も前から日本政府に対して対策を求め続けていたのに、事実上、放置されていた。行政の怠慢である。

・各自動車整備工場は顧客を失うことを恐れ、長らくこの事実を公表することが出来なかった。彼らの保管能力は限界に達しつつある。

・今回、第三者機関による調査はわずかに36か所であり、国による全数調査を早急に実施しなければならない。

・自動車整備工場の放射性汚泥問題は、福島県内だけの問題ではない。放射性物質が付着した自動車は日本中を走り回っており、日本中に拡散している。汚染状況調査は日本全国で行わなければならない。

・放射性廃棄物は、自動車整備工場だけの問題ではない。今回判明した事実は、氷山の一角に過ぎない。ありとあらゆる分野で汚染が放置され、日本国民は事実を調べようともしないし、見ようともしていない。

・問題の先送りは健康被害という形で現れる。呼吸や食事を通じて体内に取り込んだ場合の内部被ばくが恐ろしいのだ。体重1キログラム当たり50ベクレルを超えると、心臓血管系・神経系・内分泌系・免疫系・生殖系・消化器系・排泄系で病的な変化が増加する。人工放射性物質には、これ以下なら安全という閾値は存在しない。チェルノブイリ原発事故後の調査ですでに明らかになった事実だ。

最後に:
 新聞テレビなどの主要メディアは、このニュース(自動車整備工場の放射性廃棄物問題)をほとんど取り上げていません。運良くこの情報に接することができた人は、「福島県内だけのことだ」「自動車整備工場限定の問題だ」と思わない方がいいです。問題の矮小化は死を招きます。

以上

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【人間社会を破壊する発電設備】福島原発周辺の町は今どうなっているのか?

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 2011年3月に発生した東日本大震災は、広範な地域に壊滅的な被害をもたらした。犠牲者や行方不明者が多く、心の傷はまだまだ癒えないだろうが、復興は進んでいる。しかし、立ち入り禁止の区域では、人が戻ることもできず、後片付けすらできない状態だ。原発という名の発電施設が事故を起こし、半永久的に人が住めない場所が出来てしまったのだ。放射性物質による汚染があまりにもひどいため、さすがの安倍政権も居住を許可できない区域がある。

 今回は、外国人の写真家:Arkadiusz Podniesinski氏が撮影したものを何枚か紹介する。

写真(富岡町の保育園で放置された三輪車)
写真(富岡町の保育園で放置された三輪車)
写真(双葉町の保育園で放置されたままのカバン)
写真(双葉町の保育園で放置されたままのカバン)
写真(富岡町のレンタルDVDショップ)
写真(富岡町のレンタルDVDショップ)
写真(パチンコ店は客も来ないまま、床に球が散乱している)
写真(パチンコ店は客も来ないまま、床に球が散乱している)
写真(薬局は放置されたまま片づける者もいない)
写真(薬局は放置されたまま片づける者もいない)
写真(無数の家畜が飢え死にし、放置されたままだ)
写真(無数の家畜が飢え死にし、放置されたままだ)
写真(病院の機能は停止したままだ)
写真(病院の機能は停止したままだ)

 たかだか発電施設が事故を起こしただけで、人間社会を再起不能にしてしまったのだ。原発と人間が共存できないことを直感で理解して頂けたらと思う。

参照リンク:
Photos give rare glimpse inside the abandoned city of Fukushima

以上

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