【猫に小判?日本人に民主主義?】選挙での低い投票率が愚かな政治家を生む。

少し前の話ですが、2016年1月24日に、東京都八王子市の市長選挙が実施されました。

 候補者は二人です。

 一人目は、自民党・公明党・民主党(当時)・連合が推薦する現職の 石森孝志氏。自民党と民主党が仲良く選挙協力していることに違和感を覚えました。
もう一人は、元大学教授の五十嵐仁氏であり、政党の推薦は受けず、超党派の幅広い市民の支援を呼びかけました。

写真(五十嵐候補の選挙演説風景) 出典:レイバーネット

写真(五十嵐候補の選挙演説風景) 出典:レイバーネット

 安倍内閣で重責を務める萩生田光一氏のおひざ元:八王子市は、安保法制(=戦争法)促進の決議をしました。現職の石森孝志氏が当選すれば、安保法制が追認された格好になります。安保法制反対を掲げる五十嵐仁氏が当選すれば、八王子市民は安保法制反対であるとアピールできます。

選挙結果:
・石森孝志氏 93,641票 →当選
・五十嵐仁氏 51,811票

 残念ながら、八王子市民は安保法制反対であるとアピールできませんでした。投票率が32.6%という驚異的な低さだったため、組織票頼みの現職石森氏が有利だったのです。

 現職石森氏の得票数:93,641に対して、当日の有権者数が451,641人ですから、(93,641/451,641)×100=20.7%に過ぎません。自民党・公明党・民主党・連合が束になっても、市民の2割程度の支持しか得られなかったのです。しかし、めでたく?当選となりました。当選した石森孝志氏は市長選挙で棄権してくれた67.4%の有権者に感謝すべきでしょう。

参照リンク
平成28年1月24日執行 八王子市長選挙投票・開票速報(22時45分更新)

 投票率は、地方選挙だけでなく国政選挙でもひどい状況です。2014年の選挙では、有権者の約半分が棄権しているのですね(ちなみに、2019年の参議院選挙では投票率が約49%)。せっかく民主主義の国に住んでいるのに、有効活用できていないのは勿体ないですよね。

図:(国政選挙(衆議院)の投票率推移) 出典:総務省

図:(国政選挙(衆議院)の投票率推移) 出典:総務省

 2014年12月、自民党は圧倒的多数の議席を得ました。しかし、自民党に投票した人の数は、棄権者数には到底及びません。自公政権の面々は、棄権してくれた有権者に感謝すべきでしょう。彼らが眠ってくれている限り、安倍政権は安泰です。

図(2014年の衆院選における自民党獲得票数と棄権者数の比較) 出典:数値は総務省集計データ通りだが、図自体の出典は不明

図(2014年の衆院選における自民党獲得票数と棄権者数の比較) 出典:数値は総務省集計データ通りだが、図自体の出典は不明

 選挙権を放棄している理由は何でしょうか?財団法人:明るい選挙推進協会が平成25年にまとめた調査結果を以下に紹介しましょう。

図(国政選挙での棄権理由) 出典:(財)明るい選挙推進協会

図(国政選挙での棄権理由) 出典:(財)明るい選挙推進協会

 投票用紙が郵送されてきて、「何だ、こりゃ?ああ、選挙があるのか・・面倒くせえな。」と言って、どこかに放置する人がかなり多いのだと思います。現代の日本では、選挙権が与えられるのが当たり前なのですが、元々そうだった訳ではありません。

 1889年に公布された衆議院議員選挙法では、満25歳以上の男子で、かつ、選挙人名簿への掲載から満1年以上、府県内で直接国税15円以上を納めている者に限られていました。その当時の15円は大金です。一部の国民だけで国の在り方が決められていたため、大正デモクラシー運動や女性参政権を求める運動などが発生しました。

 1925年に納税条件が撤廃されたものの、満25歳以上の男性(総人口の約2割)に限定されていました。女性は政治に口を出すことが許されなかったのです。当然ながら社会の劣化が進み、軍部が独走し、諸外国にも多大な迷惑をかける結果となりました。

写真(戦後の焼野原) 出典:不明

写真(戦後の焼野原) 出典:不明

 満20歳以上の男女に選挙権が付与されたのは1945年(昭和20年)になってからです。日本国民自ら勝ち取ったものでは有りませんが、完全普通選挙が実施されるようになったのは良いことです。しかし、繰り返しますが、権利を持っていても有効活用できていません。「猫に小判、日本人に民主主義」の状況が続いています。

 日本よりも完全普通選挙実施が遅れた国の一つとして、南アフリカが挙げられます。悪名高き人種隔離政策(アパルトヘイト)が行われていたため、国民の大多数を占める黒人には長らく選挙権が与えられていませんでした。闘争や粘り強い対話を重ねることで、1994年4月にようやく全人種選挙が実施されました。その後、大統領に就任したネルソン・マンデラさんは有名ですね。

 1994年4月に行われた南アフリカ国政選挙の投票率は9割近いものでした。当時、私もテレビで見ましたが、初めて選挙権を行使する黒人たちが、投票するために列を作って何日も待っている姿が印象的でした。2009年に行われた南アフリカ国政選挙では投票率が8割程度でしたが、それでも日本よりはずっと高い数字です。選挙での投票は重要なものだ、という意識は、南アフリカ国民の方が強いことを示しています。

 日本では政治的無関心層が多いため、それが反動安倍政権の誕生を許し、国民が、自分で自分の首を絞めています。安倍政権によるマスコミ懐柔が権力批判報道を激減させ、それが政治的無関心層の増加につながっています。マスコミ自ら選挙期間に選挙関連報道を控えていながら、投票後に「投票率が低いですね」と他人ごとのように報道する様は滑稽ですらあります。全然笑えません。

 日本における選挙の投票率が10割は無理だとしても、8〜9割程度まで増えるのはいつになるでしょうか?取り返しがつかないことが起こり、もっと痛い目に遭わないと気が付かないのでしょうか?

 「仕事があるから」「投票所が遠い」「面倒だ」「候補者の違いが判らない」「自分一人が投票しなくても構わねえだろ」「選挙をしても政治は変わらない」「天気が悪いから」・・・・このような理由で選挙権を放棄することが、どれだけ危険なことか・・・ なるべく早く気付いて欲しいと思います。

以上

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