プロパガンダとは次のように定義されます。(出典:ウィキペディア)
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「特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った、宣伝行為である。通常情報戦、心理戦もしくは宣伝戦、世論戦と和訳され、しばしば大きな政治的意味を持つ。」
「あらゆる宣伝や広告、広報活動、政治活動はプロパガンダに含まれ、同義であるとも考えられている。利益追求者(政治家・思想家・企業人など)や利益集団(国家・政党・企業・宗教団体など)、なかでも人々が支持しているということが自らの正当性であると主張する者にとって、支持を勝ち取り維持し続けるためのプロパガンダは重要なものとなる。対立者が存在する者にとってプロパガンダは武器の一つであり、自勢力やその行動の支持を高めるプロパガンダのほかに、敵対勢力の支持を自らに向けるためのもの、または敵対勢力の支持やその行動を失墜させるためのプロパガンダも存在する。」
「あらゆる国でプロパガンダは用いられており、一方で国家に反対する人々もプロパガンダを用いている。あらゆる政治的権力がプロパガンダを必要としている。」
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プロパガンダ自体は悪いものではなく、いつの時代もどの国でも手段として用いられてきました。一般国民の立場で警戒しなければいけないのは、権力者が用いるブラックプロパガンダです。ブラックプロパガンダとは、「情報の発信元を偽ったり、虚偽や誇張が含まれるプロパガンダ」(出典:ウィキペディア)のことです。
プロパガンダの技術としては、アメリカの宣伝分析研究所が次の7種類を挙げています。
1.ネーム・コーリング – レッテル貼り。攻撃対象をネガティブなイメージと結びつける(恐怖に訴える論証)。
2.カードスタッキング – 自らの主張に都合のいい事柄を強調し、都合の悪い事柄を隠蔽、または捏造だと強調する。本来はトランプの「イカサマ」の意。情報操作が典型的例。マスコミ統制。
3.バンドワゴン – その事柄が世の中の趨勢であるように宣伝する。人間は本能的に集団から疎外されることを恐れる性質があり、自らの主張が世の中の趨勢であると錯覚させることで引きつけることが出来る。(衆人に訴える論証)
4.証言利用 – 「信憑性がある」とされる人に語らせることで、自らの主張に説得性を高めようとする(権威に訴える論証)。
5.平凡化 – その考えのメリットを、民衆のメリットと結びつける。
6.転移 – 何かの威信や非難を別のものに持ち込む。たとえば愛国心を表彰する感情的な転移として国旗を掲げる。
7.華麗な言葉による普遍化 – 対象となるものを、普遍的や道徳的と考えられている言葉と結びつける。
上記7つの技術を一読してもピンと来ないかもしれませんので、各々具体例を挙げて行きます。
1.ネーム・コーリング – レッテル貼り。攻撃対象をネガティブなイメージと結びつける(恐怖に訴える論証)。
SEALDSの安保法制反対デモがとても効果を上げているので政権側の人間が恐れをなしています。論理的に反論する手立てがないので、レッテル貼りによりSEALDSの若者たちの評判を落とすことを思い付きました。
日本共産党や朝日新聞に対しては、特に保守層の中にマイナスイメージを持っている人がいることは事実です。そこを利用したわけです。
2.カードスタッキング – 自らの主張に都合のいい事柄を強調し、都合の悪い事柄を隠蔽、または捏造だと強調する。本来はトランプの「イカサマ」の意。情報操作が典型的例。マスコミ統制。
巨大な原子力利権を守るためには、福島原発事故がすでに収束し、放射性物質による健康被害が無いことにする必要があります。そのためには、福島県民が元の住所で暮らし、日常生活を事故前と同じように送ってもらわねばなりません。さらに、安全性のアピールのために福島県産の食糧を食べて応援しようというキャンペーンを思い付きました。
チェルノブイリでは日本よりもはるかに厳しい基準を設けているのですが、低線量長期被ばくによる健康被害が深刻です。日本政府はそのことを良く知っているにも関わらず、国民の健康を犠牲にする政策をとっています。犯罪ですね。
関連記事のリンク↓
日本人はチェルノブイリから何を学ぶべきか?→予防原則に基づいた健康被害対策の徹底を!
3.バンドワゴン – その事柄が世の中の趨勢であるように宣伝する。人間は本能的に集団から疎外されることを恐れる性質があり、自らの主張が世の中の趨勢であると錯覚させることで引きつけることが出来る。(衆人に訴える論証)
日本に限らず世界中どの国でも汚いことがたくさんあります。欠点、腐敗、堕落などと向き合いつつ、日々、試行錯誤しているのです。しかし、試行錯誤などという地道な努力をしたくない人がたくさんいます。臭い物にフタという安易な手段に頼りたがる人も大勢います。
このような状況下で、「この国は美しい」、「誇りに思うべきだ」と自信をもって語りかけてくるリーダーが現れたらどうなるでしょうか?下記の宣伝を見て安倍さんのファンになった人は多いと思います。
4.証言利用 – 「信憑性がある」とされる人に語らせることで、自らの主張に説得性を高めようとする(権威に訴える論証)。
安倍政権が推し進めている安保法案に関して、2015年6月4日に衆議院で憲法審査会が開かれました。3人の憲法学者が呼ばれて意見を述べたのですが、与党側が推薦した学者も含めて全員が憲法違反と断言してしまいました。
せめて与党側の推薦する学者だけでも、「合憲だ」と言ってもらえる人を選ぶべきだったのです。プロパガンダに失敗して墓穴を掘った例です。
5.平凡化 – その考えのメリットを、民衆のメリットと結びつける。
2014年5月15日、安倍内閣総理大臣は集団的自衛権に関する会見を行いました。説明時に用いたパネルの一つが下記です。
紛争国から救出された日本人を輸送するアメリカの船が襲撃された時に、現在の法体系ではこのアメリカ船を日本の自衛隊が守ることが出来ないんだそうです。この説明を聞いいて、「安倍さんは国民の安全を親身になって考えてくれてるんだなあ・・・」と感激した人は多いと思います。(実際にはあり得ない想定ですが・・・)
6.転移 – 何かの威信や非難を別のものに持ち込む。たとえば愛国心を表彰する感情的な転移として国旗を掲げる。
例えば政治家が演説する時に、聴衆が一斉に日の丸を振るのは効果があります。「愛国心」を持った熱心な支持者たちに声援を受けているという構図がマスコミ・インターネットなどで流されれば支持の拡大につながります。
7.華麗な言葉による普遍化 – 対象となるものを、普遍的や道徳的と考えられている言葉と結びつける。
集団的自衛権の行使は憲法違反だというのが歴代内閣の答弁です。安倍内閣の安保法制は集団的自衛権を可能にしますから憲法違反です。従って、安保法案は廃案しか選択肢がありません。そこで安倍さんは、憲法違反という解釈を変更することが可能だと主張しました。当然、野党側からは強い反発が起こりました。その時の安倍さんのセリフが下記写真です。
「政治家としての責任の放棄だ」と言われると、「安倍さんは責任感の強い人だなあ」と思う人もいるはずです。道徳心に訴える方法は効果的です。その一方で、「アメリカからの要請」「軍需産業の利益の為」という本当の目的には言及しません。
ここで、歴史上の有名人が重視した方法をウィキペディアから引用します。
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アドルフ・ヒトラーは、宣伝手法について「宣伝効果のほとんどは人々の感情に訴えかけるべきであり、いわゆる知性に対して訴えかける部分は最小にしなければならない」「宣伝を効果的にするには、要点を絞り、大衆の最後の一人がスローガンの意味するところを理解できるまで、そのスローガンを繰り返し続けることが必要である。」と、感情に訴えることの重要性を挙げている。ヨーゼフ・ゲッベルスは「十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう」(=嘘も百回繰り返されれば真実となる)と述べた。
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権力者は必ず嘘をつきます。テレビ・ラジオ・映画・インターネット・新聞・雑誌・街頭演説・ポスターなど、ありとあらゆる手段を用いて国民に訴えかけてきます。騙されて、間違った判断や不適切な投票行動をしないように気を付けたいものです。
参考リンク:
「プロパガンダ」
農林水産省「食べて応援しよう」
以上
コメント
もうひとつ忘れてはならない手法がある。
問題があるであろうグループと、
タッグを組み、相手に悪者を演じさせ、
あたかも英雄か何かのように思わせる手法だ。