最悪事故を起こした東電を甘やかす自民党政府:
安全対策を疎かにした結果、2011年3月に福島原発事故という巨大犯罪を犯した東京電力。
その経営者は、誰一人として刑務所に入れられることなく、自民党政権の手厚い保護を受けている。
原価総括方式にも守られて、2015年3月期の純利益は5210億円にも上る。
東電の株主もお金を貸し出している銀行も安泰だ。
その一方、当時の安倍政権は、福島原発事故で汚染された広大な地域の除染費用に税金を投入することを決めている。
責任者である東電が負担するという今までの方針から逸脱するものであり、国会などでの審議もなく、政府が独断専行で決めたのだ。
税金による東電救済という批判は免れない。
避難者の故郷への帰還を加速するため、という言い訳をする暇があったら、東電への責任追及を厳しく行うべきだ。
実質居住不可能な福島原発周辺:
福島第一原発周辺は高レベルの放射性物質に汚染されて人が住めないが、政府は、除染作業を行うための予算を確保している。
今後5年以内に警戒区域の避難命令を解除し、復興を加速させたい意向だ。
残念だが、チェルノブイリの例を見ても分かる通り、除染をすれば人が住めるようになるというのは幻想だ。
労多くして効果が少ないというのが現実なのだ。
原発事故で土地が汚染されたら、少なくとも300年間は人が住むことができない。
無駄なお金をかけず、避難者の避難先での生活安定のために力を尽くすのが政治家の本来の任務である。
事故を起こした福島原発からは今でも、地下水・海・大気へ放射性物質が漏れ続けているが、これを何とかするのが先決だろう。
東京オリンピックのために上辺だけの復興を演出するなど言語道断。
無理に除染をして、年間の累積被ばく線量を20ミリシーベルト以下にすれば避難者が帰還しても構わない、というのが政府の方針だ。
しかし、福島原発事故前は、年間1ミリシーベルト以下だったのであり、根拠もなく基準を20倍も緩和する姿勢は人命軽視そのものである。
しかもこれらは、身体の外から放射線を浴びる外部被ばくの数値に過ぎない。
放射性物質は目に見えず臭いもしないが、至る所に存在しており、呼吸や食事を通じて体内に取り込まれ、内部被ばくの危険を避けることができないのだ。
内部被ばくの脅威については、下記リンク先を見て頂きたい。
【福島原発事故】放射性物質の汚染により発生する健康被害とは?
賠償は事故の当事者に払わせるのが原則:
水俣病などの悲劇を教訓として、環境を汚染した当事者が賠償するという原則がある。
福島原発事故への対処方法を定めた特別法にも、東京電力が費用負担しなければならないと明記されている。
何兆円という単位の無駄な除染費用をどうしても税金から支払うならば、東電はその分を後で返還しなければならない。
その東電の返還負担を無くすため、政府は特別法の改正を予定している。
「税金で東電を救済するな!」という批判に対して政府は、「警戒区域からの避難者に対して東電はすでに賠償金を支払っている」とか言い訳をしてるが全く不十分。
福島第一原発の廃炉費用・避難者への賠償金・除染費用を合わせると、すでに21.5兆円に膨れ上がっている(2016年12月現在)。
この数字は今後も上昇する見込みだ。
経済産業省は、賠償費用の一部を電気料金に上乗せして電気利用者に負担させることを目論んでいる。
日本人はお上の言うことは素直に聞くし、奴隷根性が染みついているため、大した反対運動も起こらず電気代アップを受け入れるだろう。
「責任者である東電が全額負担しなければならないという原則は、政治意識の低い日本国民の意識から消えていくはずだ」
これが、自民党政権の目論見である。本当に、馬鹿にされたものだ。
原子力村の既得権益者たちは国民から搾取する気満々:
責任者である東電をこれほどまでに甘やかすのは、自民党政権自体が経団連などの財界に操られているからである。
財界からの多額の政治献金や選挙での協力は政権維持に欠かせない。
また、財界は天下りポストを多数用意してくれているので官僚にとっても欠くべからざる存在だ。
税金や電気料金を払う庶民や、放射性物質の脅威にさらされる人たちの立場や気持ちに配慮する筈がないのだ。
東電の責任を厳しく追及すれば、電力業界全体を敵に回すことになる。
原発は複雑で巨大なシステムであり、多くのメーカーや建設会社が関与している。
みんな自民党の応援団だ。
東電に賠償させて経営を傾かせれば、投資家や銀行などが損失を被ることになる。
彼らも自民党の応援団だ。
つまり、原子力利権者たちや資産家富裕層など1%の人たちの利益を代弁しているのが今の自民党であり、その他99%の国民は搾取される対象でしかない。
我々有権者はこのことを肝に銘じて選挙で意思表示せねばならない。
参考リンク:
The cost of cleaning up Fukushima
追伸:
2022年7月13日、東電の株主による代表訴訟で、東京電力の旧経営陣に対して東京地裁が賠償判決を下した。
総額13兆円以上の賠償命令であり、「歴史的な判決」と原告らは評価している。
判決は、「東電が津波対策を講ずる必要があり、それが可能だった」と認定している。
職務怠慢の代償は大きく、そもそも原発など不合理な代物に手を出すべきではなかったのだ。
この判決により今後、原発の新規増設や運営を躊躇させる効果を期待できる。
「失敗から学べない日本人」などという汚名を返上できるかどうかは、今後の関係者の行動にかかっている。
以上