政府広報のNHKが731部隊を特集!
2017年8月13日に放送された、「NHKスペシャル 731部隊の真実 ~エリート医学者と人体実験~」の内容がスゴイと話題になっている。
ネトウヨが発狂しそうな内容を、安倍政権の広報機関であるNHKが流していることに驚きを覚えた。
内閣支持率が低下すると、御用マスコミでも良心的な番組を放送できるようになるらしい。
下に、番組動画リンクを貼ったが、2023年3月現在は閲覧が制限されており見ることができない。
「731部隊の真実~エリ―ト医学者と人体実験~」… 投稿者 gomizeromirai
代わりに、NHKのホームページから番組内容の紹介部分を引用させていただく。
引用始め
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戦時中、旧満州で密かに細菌兵器を開発し実戦で使用した、731部隊。部隊が証拠を徹底的に隠滅、元隊員が固く口を閉ざしたため、その実像を知る手がかりは限られてきた。
今回NHKは、終戦直後、旧ソ連で行われたハバロフスク裁判の音声記録を発掘。20時間を越える記録では、部隊中枢メンバーが、国防や国益のためとして細菌兵器を開発した実態、そして旧満州で日本に反発していた中国や旧ソ連の人々を「死刑囚」とし、細菌兵器開発の「実験材料」として扱っていた実態を、克明に語っていた。
さらに、元隊員の資料や当時の学術界の膨大な記録からは、軍だけでなく学術界からも多くの研究者が部隊に参加していた実態が浮かび上がってきた。満州事変以降、学術界が軍と関係を深めていった過程、そして日本軍が旧満州で反発する人々を死刑にすることについて世論の支持が高まる中で「死刑囚」を研究に活用する動きが相次いでいた実態も明らかになってきた。
731部隊はどのようにして生まれ、そして医学者たちは、どう関与していったのか。数百点にのぼる資料をもとに、731部隊設立の謎に迫る。
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引用終わり
この番組は、人体実験という犯罪に関与した側の日本人証言が元になっている。
731部隊の犯罪は、千数百万人という中国人殺害のうちのごく一部に過ぎないが、貴重な記録である。
731部隊も含めた戦争犯罪の取材記録を紹介
731部隊関連の犯罪は、本多勝一氏の著書「中国の旅」にも記されている。
NHKスペシャルと異なるのは、被害に遭った中国側からの証言で構成されていることだ。
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中国を取材した目的を本多勝一氏は同書で次のように述べている。
「戦争中の中国における日本軍の行動を、中国側の視点から明らかにすることだった。それは、侵略された側としての中国人の「軍国主義日本」像を、具体的に知ることでもある。とくに日本軍による残虐行為に重点をおき、虐殺事件のあった現場を直接たずね歩いて、生き残った被害者たちの声を直接訊きたいと考えた。」
「中国の旅」の「人間の細菌実験と生体解剖」という部分から一部を引用する。
引用始め
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日本が降伏したとき、医科大学の責任者たちは犯罪の証拠隠滅をはかって多くを焼いたり破壊したりしました。日本帝国主義がここで中国人を材料にやっていた犯罪とは、侵略戦争のための細菌実験・生体解剖実験・監獄で殺された死体を使っての実験などです。
1936年から1942年までここに在籍していた微生物の主任教授に「北野政次」という医者がいました。「北野」は関東軍の陸軍少将になり、731部隊の隊長として中国人に対する数え切れぬ犯罪をおかしています。
1939年2月、「北野」は発疹チフス予防接種に関する論文を書いた。これは13人の元気な中国人の体を使って病原体を伝染させ、そのあと生きたまま解剖した“研究”の結果である。
実験に使われた13人のうち、2人に対してはワクチンの予防注射をせずにチフス菌を注射した。11人に対しては予防注射をしてから1か月後に接種した。
こういう実験は、もちろん中国人のためなどではなく、侵略軍に奉仕するためのものでした。当時この地方にチフスが流行していたわけですが、そこへ攻めこむ日本軍がこれにかからないようにするために、中国人を使って実験したのです。
日本敗戦直前の1945年3月に「北野」は帰国しています。だから彼は、この大きな犯罪に対する侵略された人民の裁判をまぬかれたままです。
実験して生体解剖というパターンには、たくさんの例があったようだ。(中略)張さんは1932年からここで働いていた。1941年の冬のある夜、「西村」という日本人係員が解剖室の死体を片付けるように命じた。(中略)生臭いにおいとともに、床に新しい血がいっぱい流れている。解剖台の上に8人の死体がまちまちに置いてあった。肝臓・肺臓などの切片が散乱している。目玉がくりぬかれ、脳ミソもとりだされている。
「私は解剖学教室に長くつとめたから知っていますが、死体であれば決してこんな鮮血は流れたりしません。血の色が全く違います。だれが見ても、あれは生きた人間から流れ出した血だったのです」と張さんはいった。
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引用終わり
戦後も繰り返された「731部隊」の犯罪
上記引用文書中に出てくる「北野政次」氏は、その後、ミドリ十字に勤務していた。
北野氏は、朝日新聞の本多勝一記者から電話取材されたが、事実関係についてほとんどダンマリ状態だったことが「中国の旅」に記載されている。
卑怯者とは、北野氏のような人間のためにある言葉であろう。
北野氏を含め731部隊の生き残りたちは、戦後、医学・薬学各分野で重鎮として君臨し続けた。
前述のミドリ十字は、薬害エイズ事件で有名になった会社である。
学者・官僚・メーカー・政治家がグルになり、健康被害を顧みず自分たちの利益を貪った犯罪だ。
戦犯をキチンと裁いて、再発防止策を徹底しなかったので、同種の過ちを繰り返したのである。
731部隊的な犯罪は、戦後の日本でも無数に行われてきた。
・水俣病、イタイイタイ病、スモン病など多くの公害、薬害事件において、事実を隠蔽・改ざんし、常に政府・企業側に有利な報告をでっち上げた。
・有害無益なワクチン接種強制により副作用が多発した。
・福島原発事故による放射線被ばくの健康被害を隠蔽・過小評価している。
・ガン検診・手術・抗がん剤投与・放射線を推進し、患者を地獄の苦しみの末に殺す。医者と製薬メーカーは大儲け。
失敗から学ぶ強さが必要
本来なら731部隊の関係者をきちんと裁判にかけ、残酷な人体実験の責任を明確にし処罰し、各界から追放すべきだったのである。
しかし、米国と闇取引をして、実験の成果を渡す代わりに全員が無罪放免になった。
その結果、人命を軽視し、人間を実験材料に使い、その成果を自分の昇進や金儲けに使うおぞましい伝統が戦後の日本に蔓延したのである。
「731部隊」とは、遠い昔に異国で起こった出来事ではない。
現代の日本でも起こっている犯罪である。
自分とは無関係などと思わないで欲しい。
「美しい日本」ではなく、負の歴史という事実を直視し、再発防止に努めるのが現代に生きる我々の義務である。
以上