国政選挙での一票の価値が、地域により大きくばらついています。一票を投じることは、国のあり方を決めるための意思表示であり、政治に参加する貴重な機会です。その大切な選挙権が、人によっては、例えば0.4票しか与えられないとしたら大問題ですよね。
例えば、Aさん0.4票、Bさん0.5票、Cさん1票のばらつきがあるケースを考えます。AさんとBさんの合計は0.9票にしかならないので、Cさん一人の1票に及ばないのです。これは、政策の良し悪しを論ずる以前の問題です。この不平等に疑問を持てない人は、一部の人にしか選挙権が無かった戦前体制を受け入れるのでしょうか?「大した問題じゃねーよ」などと言って、放置することは許されません。
日本国憲法第14条の第1項には、次のように記されています。
1.すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
「すべて国民は、法の下に平等」、なのです。
実際、一票の価値がどのようにばらついているのか、下の図が参考になります。
2014年12月の衆院選についても、憲法が定める投票価値の平等原則に反するとして、最高裁判所が違憲状態判決を下しています。違憲状態のまま、憲法が許容する期間内に是正されなければ違憲になります。いずれにしても、日本国憲法が定める「すべて国民は、法の下に平等」という原則に反しています。「0増5減」とかの小手先の対策でお茶を濁すことは許されません。
しかし、大法廷で審理に参加した最高裁判所裁判官14名全員が、違憲状態または違憲と判断した訳ではありません。櫻井龍子氏、池上政幸氏の2人の裁判官は、補足意見として「合憲」の立場を主張しています。理由として両裁判官は、次の内容を挙げています。
・選挙区割りにおいては投票価値の平等のみが絶対的な基準とまでは言えない。
・国会が投票価値の平等を図るために十分努力をしていると評価できる。
・全選挙区で区割りを見直すための合意形成は大変だ。
櫻井龍子氏、池上政幸氏の2人の裁判官は、安倍政権の応援団なのでしょうか?国民の権利をないがしろにして、既得権益を守りたい政権与党が聞いたら泣いて喜びそうな意見ですね。保身でしょうか?権力者の御機嫌取りを躊躇しない人間が裁判所にいたら、国民は安心して暮らすことができません。「櫻井龍子」と「池上政幸」。この両名は本来ならば、最高裁判所裁判官国民審査で罷免されるべき対象です。
一票の格差問題に関しては、マスコミでの扱いが本当に小さいですね。国民の関心の低さも影響していると思います。
悪徳政治家の本音は、「自分たちに都合の良い者だけに選挙権を与え、批判する者からは選挙権を取り上げたい」です。悪徳政治家にとっての理想は、「選挙制度を無くして、永遠の独裁体制を確立したい」です。日本人は、上から言われたことには素直に従うという特徴を持っています。言葉は悪いですが、奴隷根性が染みついた人が多いのです。「自分の意見なんて無いよ。選挙なんて面倒くさい。独裁国家でいいよ。」という気持ちが無意識下にあるのではないでしょうか?「そんなことねーよ!」と反発するのが健全な姿です。「自分は大切な権利を持っている」という意識が大切なのです。
一票の格差という根本問題について、権利者である我々国民は、そろそろ真面目に考えるべき時期に来ていると思います。
以上