【福島原発の周辺地域】病院に常勤医師がおらず、地域医療を支えることが困難。

 事故を起こした福島第一原発から約20kmに位置する高野病院では、常勤の医師が一人もおらず、地域医療を支える体制が成り立っていないという。2017年1月6日付のジャパンタイムズがこの件を記事にしている。該当するリンクを以下に示す。

Death of doctor in Fukushima disaster zone hospital throws patients’ futures into question

以下に要点を記す。

要点初め
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写真(福島県広野町にある高野病院) 出典:高野病院のウェブサイト

福島県の広野町にある高野病院は、2011年の原発事故以降、地域医療を支えてきた。81歳の老人がただ一人の常勤医師として頑張っていたが、2016年12月30日の夜に起こった火事に巻き込まれて亡くなった。

広野市は現在、100人いる入院患者のためにも、高野病院を存続させるべく奔走している。ボランティアの医師たちによって2017年1月までは運営される予定だが、その後はどうなるか分からない。

高野病院は、広野町だけでなく双葉地域の医療も担ってきた。原発事故後も運営されてきた唯一の病院なのである。他にも5つの病院があったが、すべて閉鎖されてしまった。

福島原発事故後、広野町の住民には避難命令が出されたが、2011年9月に解除された。しかし、現在の人口は事故前の6割程度に留まっている。

高野病院は原発事故後、一日も休まずに地域医療を担ってきた。除染や廃炉を行う約3500人の作業者たちも支えてきたのだ。

しかし、常勤の医師が一人もいない今の状態は違法である。医療の質の安定性が損なわれるからだ。一刻も早く常勤の医師を見つけなければならないが、難航している。原発事故以降、病院の経営状態は悪くなったが、民間病院であるがゆえに税金による援助が得られない。

あれから6年が経とうとしているが、原発事故の傷跡は未だに癒えない。高野病院の事例は決して対岸の火事ではなく、全国の原発を抱えている地域ならばどこでも起こる可能性があるのだ。
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要点終わり

 高野病院は常勤の医師が亡くなってしまったため、代わりの医師を探しているとのことだが、本来ならば、入院患者や地域住民と共に、汚染度が少ない地域へ避難・移転すべきである。

 放射性物質に汚染された地域は少なくとも300年は居住することができない。何兆円もかけて無駄な除染作業をするくらいならば、そのお金を移住費用などに充てるべきだ。日本政府は下記の施策を早急に実行しなければならない。

①放射能レベルの正確な測定を日本全国で行い、結果を全て公表する。
②外部被ばくだけでなく内部被ばくの危険についても、最新の知見を国民へ提供する。
➂避難・移住地域選定については、最低限、チェルノブイリ基準を適用する。

出典(明かり新聞)

出典(明かり新聞)


④避難・移住先で不自由がないように、住居、仕事、収入については十二分に援助する。
⑤避難対象者の医療費については生涯無料とし、診断結果は本人へ丁寧に説明する。
⑥原発は即時に廃止し、福島原発も含めて廃炉作業は安全第一で進める。

 安倍政権をはじめとする原発マフィアがやっていることはすべて、これらの原則に反している。国民を危険地域に放置して、壮大な人体実験でもやりたいのか?

写真(放射性セシウムによる土壌汚染) 出典:IPPNW-Report "Health consequences resulting from Fukushima Update 2015"

写真(放射性セシウムによる土壌汚染) 出典:IPPNW-Report “Health consequences resulting from Fukushima Update 2015”

 放射性物質は、目も眩むような閃光を発しない。鼻を突くような異臭がない。耳をつんざくような爆音もしない。顔をしかめるような激痛もない。だからこそ、科学的な知識、利害関係者以外からの情報、健康被害への想像力、冷静な思考力・判断力、雰囲気に流されない自律心などが必要になる。「見て見ぬふり」や「臭い物に蓋」は身を滅ぼす。日本政府が言っている「安全神話」を易々と信じている人が多いのには驚かされる。自分の身を守るために、権力に対して声を上げなければならない。

以上

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