アメリカ国務省が日本の人権状況について報告:2016年発表内容の紹介

 アメリカの国務省は毎年、世界中の国の人権状況について詳細な報告書をまとめています。日本も対象国の一つです。

 2016年4月に、日本語の翻訳版が発表されています。下にリンクを記します。

2015年国別人権報告書―日本に関する部分

 この中から、特に日本人が意識しておいた方が良い部分を引用します。自分で自分を評価すると甘くなりがちですが、外からの目は的確なことが多いのです。参考にしてください。

引用始め
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「自衛隊では、しごき、いじめ、体罰、セクハラが継続した。防衛省は2014年4月から2015年3月までに、部下に恣意的な制裁を加えたとして47人の自衛隊員を懲戒処分にしたと報告した。3月、横浜簡易裁判所は、同級生に暴行した防衛大学校の3人の学生に罰金を科した。6月、同裁判所は、部下への暴行および器物損壊を行なった海上自衛隊員に罰金を科した。8月、陸上自衛隊高等工科学校の18歳の元生徒は、いじめを受けたとして、政府および元同級生に対して損害賠償を求める訴訟を起こした。これらの事案を受け、防衛省は9月、このようないじめ、しごきへ対処する指針を発表した。」

「死刑囚は、通常、死刑執行まで単独室に収容される。当局は、死刑囚への親族、弁護士、およびそれ以外の人々による面会を認めている。単独室収容期間は事例によって異なる。ある事例では、判決から6年2カ月後に死刑が執行された。あるNGO関係者によると、死刑に相当する犯罪で訴えられた受刑者は、裁判前も単独室に収容されていた。2014年3月、当局は、ある死刑囚を48年ぶりに釈放した。このうち30年間は単独室での収容であった。裁判所は、有罪判決に用いられた証拠を捜査機関がねつ造した可能性があると判断した。」

「法律により恣意的逮捕や留置・勾留は禁止されているが、信頼できるNGOとジャーナリストは引き続き、大都市の警察が人種プロファイリングを用い、「外国人のように見える」人、特に肌が浅黒いアジア人やアフリカ系の人に理由なく嫌がらせをし、時には逮捕することもあったと主張した。」

「国家公安委員会の規則は、警察官が被疑者に接触すること(やむをえない場合を除く)、物理的な力を行使すること、脅迫すること、被疑者に長時間一定の姿勢を取らせること、言葉で虐待すること、自白を引き出すために被疑者に好ましい申し出をすることを禁止している。法務省はこのような事例があったことを否定しているものの、信頼できるNGOは、当局がこの規則を適切に執行せず、極端な事例では、依然として被勾留者に対し8時間から12時間に及ぶ取り調べを行い、その間ずっと被勾留者を手錠で椅子につないだままにし、強引な尋問方法を用いたと主張した。NGOはまた、物理的な力の行使は一般的に減少しているが、当局は自白を引き出すために心理的に威圧感を与える手法を引き続き用いていると指摘した。」

「検察官は取り調べ中、自己裁量で被疑者の自白を一部録音・録画することができる。最も一般的な録音・録画方法は読み聞かせで、警察官が被勾留者の自白を復唱、または口頭で要約するのを録音・録画する。当局は選択して録音・録画を編集するため、自白や、警察による口頭での自白の要約という結果に至る場合が多いと報告される、心理的に威圧感を与える手法を、裁判所は確認できないかもしれない。検察庁および警察が取り調べの全過程を録音・録画することが増えたが、録音・録画は義務ではない。警察内部の監督官が取り調べに同席することが増える一方で、独立した監督は行われず、強制的に自白させられたという申し立てが続いた。」

「警察庁は、2014年に取り調べに関する苦情を459件受け、31 件について取り調べにかかる指針に対する違反行為を確認したと発表した。警察の監察部門は一部の違反者を懲戒処分としたが、警察庁は関連する統計を公表しなかった。アムネスティ・インターナショナルは、取り調べ全体の電子的な録音・録画の導入、および弁護人が立ち会わない取り調べの禁止などの改革を求めた。」

「裁判官は習慣的に検察官の勾留延長請求を認めるため、「代用監獄」として知られる起訴前の勾留は通常23日間続いた。2015年の被勾留者のほとんど全ては、代用監獄に勾留された。信頼できるNGOおよびこの分野の外国の専門家は依然として、起訴前の被勾留者が最長23日間勾留されることが日常的であり、その間弁護人、あるいは被勾留者が外国人の場合は自国の領事以外との面会が許されなかったと報告した。」

「被告は、有罪と証明されるまで推定無罪とみなされるが、権威あるNGOおよび法律家は、実際に被告が推定無罪とみなされているかどうかについて、引き続き疑問を呈した。日本政府は、主に自白に基づいて有罪判決が下されているのではないこと、および取り調べに関する指針は被疑者が罪の自白を強要されない旨を規定していると引き続き主張したが、NGOによると、起訴された被勾留者の大半は、警察に勾留されている間に自白した。」

「2014年に裁判所が審理した刑事事件の被告人数は約33万7000人であり、無罪判決が下った被疑者は116人であった。その結果、有罪判決の割合は99.9%を超えた。裁判所はまた、319件について公訴棄却とした。独立した立場の法律学者は、日本の司法は自白を重視しすぎると主張したが、日本政府はこれに異議を唱えた。」

「一部の独立した立場の法律学者によると、審理手続きは検察側に有利となっている。法律により、弁護人との接見が認められているにもかかわらず、かなりの数の被告が、弁護人との接見不足を報告した。法律では、被告側の弁護人が開示手続きに関する厳しい条件を満たすことができる場合を除いて、検察官による資料の全面開示を義務付けていない。このため、検察側が裁判で使用しなかった資料が隠されることもあった。」

「児童買春は違法であり、児童買春をした成人は5年以下の懲役もしくは300万円(約2万8300ドル)以下の罰金、あっせん業者は7年以下の懲役および1000万円(9万4300ドル)以下の罰金に処せられる。引き続き行われている「援助交際」や、出会い系、ソーシャル・ネットワーキング、「デリバリー・ヘルス」などのウェブサイトの存在が児童買春およびその他の商業的性産業を助長した。「JK(女子高生)ビジネス」として知られる風潮が、引き続き拡大した。これらの業者には、未成年の少女が接客する飲食店や高校生の年代の少女が雇われているマッサージ店などがある。「JKビジネス」で働く少女を支援するNGOは、これらの事業と児童買春の関連性を報告した。」

「日本は、児童ポルノの製造および人身取引犯による子どもの搾取の現場であった。2014 年、日本は、児童ポルノの単純所持を犯罪とみなし、法の大きな不備を是正した。法の施行は2015 年7 月15 日に開始された。児童ポルノの商用化は違法であり、3 年以下の懲役もしくは300 万円(約2 万8300 ドル)以下の罰金に処せられる。警察はこの犯罪の厳重な取り締まりを続けた。警察の報告によれば、2014 年の児童ポルノの捜査件数は過去最高の1828 件であり、746 人の子どもが被害者となった。」

「性描写が露骨なアニメ、マンガ、ゲームには暴力的な性的虐待や子どもの強姦を描写するものもあるが、日本の法律は、こうしたアニメ、マンガ、ゲームを自由に入手できるという問題に対処していない。専門家は、子どもに対する性的虐待の描写を容認するような文化が子どもに被害を与えると示唆した。」

「部落民(封建時代に社会的に疎外された者の子孫)は、政府による差別を受けていないものの、根深い社会的差別の被害者となることが多かった。部落民の権利擁護団体は引き続き、多くの部落民が社会経済的状況の改善を実現したにもかかわらず、雇用、結婚、住居、不動産価値評価の面での差別が横行している状況が続いたと報告した。公式に部落民というレッテルを貼って部落出身者を識別することはもうなかったが、戸籍制度を利用して部落民を識別し、差別的行為を促すことが可能であった。部落民の権利擁護団体は、多くの政府機関も含め、就職希望者の身元調査のため戸籍情報の提出を求める雇用者が、戸籍情報を使って部落出身の就職希望者を識別・差別する可能性がある、と懸念を表明した。」

「日本で生まれ、育ち、教育を受けた多くの外国人を含む、日本で永住権を有する外国人は、差別に対する法的な保護措置があるにもかかわらず、住居、教育、医療、および雇用の機会の制限など、さまざまな形で根深い社会的差別を受けた。外国人や、「外国人のように見える」日本国民は、ホテルやレストランなど一般の人々にサービスを提供している民間施設への入場を、時には「外国人お断り」と書かれた看板によって禁じられたと報告した。NGO は、こうした差別が通常あからさまで直接的であったにもかかわらず、政府がそのような制限を禁止する法律を執行していないと訴えた。」

「一般的に、永住権を持っていたり、日本に帰化した韓国・朝鮮人を社会が受け入れる状況は引き続き改善された。帰化申請のほとんどは当局により許可されたが、人権擁護団体は、帰化手続きを複雑にする過度の官僚的な障壁や、不透明な許可基準について引き続き抗議した。帰化しないことを選択した韓国・朝鮮人は、市民的および政治的権利の面で困難に直面し、国連人種差別撤廃委員会に対する日本の定期的な報告によれば、住居、教育、その他の給付金の面で頻繁に差別を受けた。2014 年12 月、最高裁判所は、京都において右翼団体が学童を含む韓国・朝鮮人に対して行ったヘイト・スピーチ(憎悪発言)のデモについて、同団体およびその一部のメンバーに損害賠償の支払いを命じた下級審の判決を支持した。」

「報道およびNGO の報告によれば、インターネット上でのヘイト・スピーチは継続した。2014 年、国連人権委員会は、日本の第6 回定期報告に対する所見の中で、「韓国・朝鮮人、中国人または部落民といったマイノリティー・グループのメンバーに対する憎悪と差別を扇動する、広範囲に及ぶ人種差別的発言」について懸念を表明し、こうした行為から人々を保護する法律上の保護措置が「不十分である」とした。」

「当局は、技能実習制度(TITP)の下で発覚した法律違反を処罰するにあたり労働関連法を適用した。TITP は、外国人労働者が日本に入国し、事実上の臨時労働者事業のような形で最長3 年間就業することを認める制度である。厚生労働省の労働基準監督官および法務省の現地の入国審査官が、TITP の下で技能実習生を雇用する事業場を監督した。NGO は監督が不十分であると主張した。TITP において企業が規則を順守しない場合の政府の対応として、一例を挙げると、警告および勧告を発出し、企業のTITP への参加を今後1~5 年間禁止することが規定されていた。厚生労働省には、実習生を採用する日本の機関を監督する法的権限がない。厚生労働省は、2014 年にTITP の技能実習生労働者を雇用していた3 万カ所以上の事業場のうち、懸念される3918 カ所を調査し、2977 カ所で労働時間、安全基準、割増賃金の支払い、その他の規制に関係する違反を認めた。厚生労働省はこうした雇用者に是正措置を取るよう指導し、措置を怠った26 件について検察庁に送致した。」

「製造業、建設業および造船業において強制労働の報告が引き続きあった。これは主に、TITP を通じて外国人を雇用している中小企業にみられた。このような職場で働く労働者は、移動の自由およびTITP 関係者以外の人物との連絡の制限、賃金の未払い、母国の仲介業者に対する多額の借金、ならびに身分証明書の取り上げを経験した。労働者は時として「強制貯金」も求められたが、こうした貯金は実習の切り上げ、あるいは強制送還の場合には没収された。例えば、報告によると、技能実習生の中には、仕事を得るため自国の出身国で最高100 万円(9430 ドル)を支払った者もいた。また報告によると、実習生が実習を切り上げようとした場合に、自国で数千ドル相当の没収を義務付けられる契約の下で雇用されていた。こうした両行為は、TITP 制度と法律のいずれの下でも違法である。日本に不法入国した労働者やビザの期限が切れたまま不法滞在した労働者は、特に弱い立場におかれた。」

「危険な装置や不十分な研修に起因するけが、賃金や残業手当の未払い、過度の、時として誤った賃金控除、強制送還、および標準以下の生活環境など、TITP における悪用事例の報告がよくみられた。さらに、この分野の専門家は、TITP の労働条件を監督する監督官および審査官は、TITP を共管する省のうちの2省が雇用していることから、利益相反も存在したと指摘した。監督官や審査官の中には、事業主が支持する政府のプログラムに対して否定的なイメージを与えかねない調査を行うことに難色を示す者もいた。」

「複数の技能実習生が、無償または有償の弁護士の支援を得て、過去の事案についてTITPに参加する企業を提訴した。裁判所はこのような事案のうち数件について技能実習生を支持する判決を下したが、多くの場合、技能実習生は未払いの賃金を受け取ることができず、事業者が破産を宣告したため保障を受け取ることができなかった事案も数件あった。2015年に係属中の事案には、賃金または残業手当の未払いを申し立てたものがあった。」

「女性は依然として、職場での不平等な待遇について懸念を表明した。女性の平均月給は、男性の約70%にとどまった。職場におけるセクハラはまだ広範囲に見られた。2014 年6 月、日本労働組合総連合会は、女性従業員の約49%が職場でのセクハラまたはパワーハラスメントを経験しており、そのうち31%の女性が苦情の申し出や相談を行っていないという調査結果を発表した。」

「雇用者が妊娠した女性に辞職を強要する事案が引き続きみられた。9 月4 日、厚生労働省は、妊娠を理由に女性従業員を不当に解雇し、同省の是正勧告を繰り返し拒否した雇用者の名前を公表した。同省は、本件がこの法律に基づき雇用者の名前を公表する初めての事案であると述べた。別の事案で、広島高等裁判所は11 月7 日、広島市の病院に対し、妊娠を理由に軽い業務への配置転換を希望した後に降格された理学療法士に175 万円(1 万6500 ドル)の賠償金を支払うよう命じた。」

「非常勤および短期契約労働者は、2014 年の労働力人口の約37%を占めた。これらの労働者は正規労働者より低い賃金で働き、多くの場合、雇用の安定性や福利厚生が劣っていた。一部の非正規労働者には、保険、年金および研修を含むさまざまな福利厚生を受ける資格が与えられていた。この分野の専門家は、4 年または5 年未満の契約、または5 年に至る直前の契約終了が増加していると報告した。これは、労働者が無期労働契約への転換を雇用者に申し込むことが可能になる通算5 年を超える契約期間にならないようにする措置である。研究者、技術者、大学の教員など大学や研究開発法人に勤務する労働者について、無期労働契約に転換するまでの期間が10 年に延長された。」
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引用終わり

以上

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