【やんわり安倍政権批判】報道ステーション最終回で古舘伊知郎氏が語った言葉を考える。

写真(古舘伊知郎氏) 出典:ANN

写真(古舘伊知郎氏) 出典:ANN

 テレビ朝日の番組:報道ステーションでメインキャスターを長年務めてきた古舘伊知郎氏が、2016年3月31日に降板しました。本人は否定していますが、安倍政権からの執拗で陰湿な圧力・懐柔が原因です。この件は海外メディアでもかなり話題になりました。

【政権批判をする司会者は始末される!】イギリスのガーディアン紙が、日本における報道の危機に言及

 テレビ朝日上層部の腐敗、安倍政権への御機嫌取り、自己検閲などにより、相当やり難い環境下で頑張って来られたのだと思います。長年、お疲れ様でした。

 番組最終回の最後で古舘氏が行った挨拶ビデオを以下に貼ります。


20160331-報ステ#古館さいごの挨拶 投稿者 nnol2016

 この挨拶ビデオの4分15秒から5分37秒までの部分を以下に書き起こしました。

書き起こし始め
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この頃は報道番組で、開けっぴろげに、昔よりもいろんな発言ができなくなりつつあるような空気は私も感じています。

とっても良い言葉を聞きました。
この番組のコメンテーターの政治学者の中島先生が、こういうことを教えてくれました。

「空気を読む」という、人間には特性がある。昔の偉い人も言っていた。読むから、一方向にどうしても空気を読んで流れていってしまう。だからこそ反面で「水を差す」という言動や行為が必要だと。
私は、その通りだと感銘を致しました。

つるんつるんの無難な言葉で固めた番組など、ちっとも面白くありません。
人間がやっているんです。人間は少なからず偏っています。
だから、情熱を持って番組を作れば、多少は番組は偏るんです。
しかし、全体的に、ほどよいバランスに仕上げ直せば、そこに腐心をしていけば良いのではないかという、私は信念を持っております。

そういう意味では、12年間やらせていただく中で、私の中でも育ってきた報道ステーション魂というものを、後任の方々にぜひ受け継いでいただいて、言うべきことは言う、多少厳しい発言でも言っておけば。間違いは謝る。
その代わりその激しい発言というものが、実は後年経って、あれがきっかけになって議論になって良い方向に向いたじゃないかと、そういう事柄もあるはずだと信じています。
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書き起こし終わり

 1分少々の短い時間ですが、古舘氏なりの反骨心を最後に示してくれました。

 安倍政権で総務大臣を務める高市早苗氏の意向は、古舘氏とは異なります。

「報道機関、特にテレビ番組は、政府発表の内容をそのまま流していればよろしい。つるんつるんの無難な言葉だけを使うのが正しいのであり、それ以外はすべて偏向報道だ。空気を読んで流されて、視聴者が何も疑問に思わないようにするのが報道機関の義務だ。政府批判などもってのほか。議論を巻き起こすような水を差すコメントは、厳に慎んでもらいたい。」

写真(安倍政権の停波をめぐる発言) 出典:朝日新聞

写真(安倍政権の停波をめぐる発言) 出典:朝日新聞

 報道ステーションの後任キャスターが、古舘伊知郎氏の思いをどの程度受け継いでくれるのかは分かりません。もしかしたら、高市早苗総務大臣の意向を汲み取る報道をするのかもしれません。権力の監視という仕事を放棄したとき、報道機関はその価値を失う、ということは言っておきたいと思います。

以上

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